トラバイグ蒸留所(Torabhaig Distillery)は、スコットランドのスカイ島(Isle of Skye)南東岸のティーングウェ(Teangue)に2017年に開業した新興蒸留所である。スカイ島では1830年代以来約200年ぶりとなる新蒸留所として大きな注目を集めた。19世紀の農場建築を改装した美しい施設で、ヘビリーピーテッドのシングルモルトを専門に生産している。
トラバイグ蒸留所(Torabhaig Distillery)|スコットランド・アイランズのスコッチウイスキー蒸留所
特徴
歴史
トラバイグ蒸留所は、スカイ島のスカイブリッジ近くのティーングウェに2017年に開業した。スカイ島では1830年代に操業していた初代タリスカー蒸留所以来、約200年ぶりの新蒸留所として業界・愛好家の大きな注目を集めた。もとは地域文化の発展に尽力したSir Ian Nobleが構想した蒸留所計画で、彼の没後にMossburn Distillersがプロジェクトを引き継ぎ、19世紀築の農場建築群を丁寧に改装して2017年1月に完工・操業開始を果たした。
蒸留所はヘビリーピーテッドの麦芽(約55ppm)のみを使用し、スカイ島特有の海洋性ピートキャラクターの追求に特化している。ノンチルフィルター・ナチュラルカラーの方針を堅持し、最初の製品ラインアップは「The Legacy Series(レガシーシリーズ)」として体系化された。2021年に発売されたAllt Gleann(アルト・グリーン)は、2017〜2018年に仕込んだ30樽以下のバッチからボトリングされ、市場に登場した。
初リリースのAllt Gleannは世界中で即座に高い評価を得た。The Whiskey Wash誌は「成熟度がこの熟成年数をはるかに超えており、穏やかなピートの温かみが将来のさらなる熟成を期待させる」と絶賛し、Whisky Connosr上では85/100のスコアを獲得した。またVintage House(英国)の仮想テイスティングイベントでは6本中2位に選出されるなど、新蒸留所ながら即座に国際的評価を確立した。
基本情報
| 正式名称 | Torabhaig Distillery |
|---|---|
| 創業年 | 2017年 |
| 操業状況 | 稼働中 |
| 所有会社 | Mossburn Distillers |
| 見学 | 可能 |
| 公式サイト | https://torabhaig.com/ |
蒸留所情報
| 蒸留器数 | ウォッシュスチル1基・スピリットスチル1基 |
|---|---|
| 蒸留方式 | ポットスチル(銅製) |
| モルト使用 | ヘビリーピーテッド(約55ppm) |
| 水源 | スカイ島の泉水 |
| 熟成倉庫 | ダンネージ式 |
| 年間生産量 | 約50万リットル/年 |
| 使用樽 | アメリカンオーク(エックス・バーボン) |
| 主力ジャンル | ウイスキー、スコッチウイスキー |
| 主要ブランド | トラバイグ |
代表銘柄
所在地
| 国 | イギリス |
|---|---|
| 都道府県州 | Isle of Skye, Highland |
| 住所 | Torabhaig Distillery, Teangue, Isle of Skye IV44 8RE, UK |
| 郵便番号 | IV44 8RE |
この地域について
スコットランド本土西岸に点在するアイランズ(Islands)地方は、スカイ島・マル島・ジュラ島・オークニー諸島・シェトランド諸島など多様な島々から構成される広域ウイスキー産地である。それぞれの島が独自の地理・気候・文化を持ち、一括りにはできない個性豊かな蒸留所群を抱えている。
北海とアイリッシュ海に挟まれた島々は、大西洋性気候の影響を強く受け、年間を通じて強風と潮風にさらされる。この過酷な海洋環境が、アイランズウイスキーに特有の塩気・磯の風味・荒々しさをもたらすと言われている。島ごとに泥炭(ピート)の質や量も異なり、ヘビリーピーテッドからノンピーテッドまで幅広いスタイルが生まれる。
アイランズは「スコッチウイスキー産地規則」において正式なリージョンとして認められていないが、業界では慣習的にハイランドの一部として扱われることが多い。しかしその個性は際立っており、愛好家からは独立したキャラクターを持つ産地として高く評価されている。スカイ島のタリスカーやトラバイグ、アラン島のアラン、オークニーのハイランドパークとスカパなど、世界的に知名度の高い蒸留所が集積し、アイランズウイスキーの魅力を世界に発信し続けている。