トミントール蒸留所は1964年、グラスゴーの二つのウイスキー小売業者であるW.&S.ストロング社とヘイ&マクラウド社によってスペイサイドのトミントール村近郊に設立された。リヴェット渓谷に位置するこの蒸留所は、海抜約350メートルという比較的高地に位置し、スコットランドで最も高所にある蒸留所の一つとして知られる。その立地から「最も清らかな空気、最も純粋な水」という蒸留所の哲学が生まれ、バランタントゥアン・スプリングの上質な湧き水がトミントールウイスキーの礎となっている。
設立当初から急速に成長し、1974年には追加スチルを導入して生産能力を倍増させ、同年からシングルモルトのボトリングも開始した。その後数度の所有権移転を経て、2000年にロンドンを本拠地とするアングス・ダンディー・ディスティラーズPLCが買収し、現在に至っている。アングス・ダンディーの下で品質へのこだわりがさらに強まり、国際的な評価が向上した。2009年にはギネス世界記録に認定された世界最大のウイスキーボトル(105.3リットルの14年熟成モルト)の製造でも話題を集めた。
トミントールの評価を飛躍的に高めたのはマスター・ディスティラーのロバート・フレミングの存在だ。四代目スペイサイド蒸留家として30年以上にわたりトミントールを率いたフレミングは、蒸留所の品質の守護者として業界で高く評価されている。その成果として、2010年のウイスキー・マガジン「ワールド・ウイスキー・アワード」では33年熟成のトミントールがスペイサイドのベストウイスキーに選出された。高品質にもかかわらず比較的手頃な価格帯を維持しているため、コストパフォーマンスに優れたスペイサイドモルトとして愛好家から「隠れた名作」と称されることも多い。
現在、トミントール蒸留所では10年・16年・21年・25年・33年などの幅広い熟成年数のラインナップを展開するとともに、ピーテッド版の「オールダーピート」シリーズ、シェリー樽熟成の特別版なども積極的にリリースしている。スペイサイドの中でも純粋で滑らかなモルティーさを持つ穏やかなスタイルは、ウイスキー入門者から上級者まで幅広い層に支持されており、品質と個性のバランスに優れたスペイサイドの実力派として確固たる地位を占めている。