グレンリベット蒸留所(The Glenlivet Distillery)|スコットランド・スペイサイドのスコッチウイスキー蒸留所

スペイサイドのグレンリベット渓谷に位置するグレンリベット蒸留所は、1824年にスコットランドで最初に合法ライセンスを取得したジョージ・スミスが創業した歴史的蒸留所である。世界で2番目に売れるシングルモルトスコッチウイスキーとして年間600万本以上を販売し、軽やかでフルーティーなスタイルは世界180か国以上に輸出される。

「THE Glenlivet」の名称を法的に守り抜いた歴史を持ち、スコッチウイスキーの近代化を語る上で欠かせない存在。現在はペルノ・リカール傘下のシーバスブラザーズが運営し、14基のポットスチルで年間約1,050万リットルを生産する。

創業者ジョージ・スミスは、1824年にスコットランドで初めて蒸留免許を取得した先駆者。当時は密造が横行していたスペイサイドで合法蒸留を始めたスミスは、密造者たちの敵意に晒され、常にピストルを携帯していたという逸話が残る。「THE」の冠詞を名前に加えたのは、19世紀後半に他の蒸留所が「グレンリベット」の名を無断使用したことへの法的対抗措置。

代表銘柄「グレンリベット 12年」はトロピカルフルーツ・バニラ・蜂蜜のクリーンでフルーティーなアロマが特徴で、シングルモルトの入門編として世界中で最も多くの人に選ばれる一本。「グレンリベット 18年」はシェリー樽の影響が加わりスパイス・ダークチョコレートの深みが楽しめる。2021年にリリースされた「ナードゥーラ」シリーズはカスクストレングスでノンチルフィルタード。

グレンリベット渓谷は密造ウイスキーの聖地として知られた歴史的な場所で、現在はスペイサイド・ウイスキー・トレイルの中核をなす観光地。2010年に完成した新しいビジターセンターは年間約10万人の訪問者を迎え、スペイサイドで最も人気のある蒸留所見学のひとつとなっている。

特徴

世界第2位の販売量を誇るシングルモルトスコッチウイスキー。1824年にスコットランド初の合法ライセンスを取得した歴史的蒸留所で、「THE Glenlivet」の名称を法的に確立した経緯でも知られる。軽やかでフルーティーなスタイルが特徴で、世界180か国以上に輸出される。

歴史

1822年にジョージ4世がスコットランドを訪問した際にグレンリベットの密造ウイスキーを所望したことが合法化の機運を高め、1824年に農民のジョージ・スミスがスコットランドで最初に合法ライセンスを取得して蒸留を開始した。周辺の密造業者からの激しい妨害を受けながらも事業を拡大し、1858年に現在地であるミンモアに新蒸留所を建設した。


ジョージ・スミス死後の1871年以降、息子ジョン・ゴードン・スミスは「グレンリベット」の名称を他の蒸留所が無断使用しているとして提訴し、1884年に法的に「THE」グレンリベットとして単独での名称使用権を勝ち取った。


1953年にシーグラム社に買収され、その後シーバスブラザーズを経てペルノ・リカール傘下に入った。2010年に大規模拡張工事でスチル数を14基に倍増させ、現在は世界180か国以上に輸出するグローバルブランドとして成長を続けている。

基本情報

正式名称 The Glenlivet Distillery
創業年 1824年
操業状況 稼働中
所有会社 Chivas Brothers Ltd.(Pernod Ricard傘下)
見学 可能
公式サイト https://www.theglenlivet.com/
Wikipedia Wikipedia

蒸留所情報

蒸留器数 ウォッシュスチル7基・スピリットスチル7基(計14基)
蒸留方式 ポットスチル
モルト使用 シングルモルト
水源 ジョサイ湧水(Josie's Well)
熟成倉庫 ダンネージ倉庫・パレット倉庫
年間生産量 約10,500,000 LPA
使用樽 アメリカンオーク(バーボン)樽、シェリー樽、フレンチオーク樽(15年)
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ザ・グレンリベット
グレンリベット12年
グレンリベット15年(フレンチオーク)
グレンリベット18年
グレンリベット21年
グレンリベット ファウンダーズリザーブ

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 スペイサイド
住所 The Glenlivet Distillery, Glenlivet, Ballindalloch, Banffshire, AB37 9DB, Scotland, UK
郵便番号 AB37 9DB

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。

受賞歴

コンテストグレード銘柄
2025 ISC ダブルゴールド ザ・グレンリベット 15年 フレンチオーク・リザーブ