ミルトンダフ蒸留所(Miltonduff Distillery)|スコットランド・スペイサイドのスコッチウイスキー蒸留所

ミルトンダフ蒸留所(Miltonduff Distillery)は、スコットランド・スペイサイドのエルギン(Elgin)近郊に位置する1824年創業の歴史ある蒸留所。Ballantine’s 17年などの高級ブレンデッドスコッチの中核原酒として世界的に知られ、現在はChivas Brothers(Pernod Ricard)が所有・運営する。公式シングルモルトとしてミルトンダフ10年がリリースされているほか、独立瓶詰め業者からの限定ボトルも愛好家に高く評価されている。

特徴

スコットランド・スペイサイドに1824年に設立された歴史ある蒸留所。Ballantine's 17年をはじめとする高級ブレンデッドスコッチの中核原酒として知られ、軽やかでフルーティーなスタイルが特徴。1981年まで特殊なロモンドスチルを所有し、「モストウィー(Mosstowie)」という別銘柄も生産していた。

歴史

ミルトンダフ蒸留所は1824年に正式な免許を取得したスペイサイド最古参の蒸留所のひとつで、エルギン(Elgin)近郊に位置する。現在の蒸留所が建つ土地にはかつてロシーマール(Pluscarden)修道院の醸造所があったとされ、何世紀にもわたる醸造・蒸留の歴史が根付いている。1824年の免許取得はスコッチウイスキー史においても重要な年で、同年にグレンリベットが免許を取得したことでも知られる。

ミルトンダフはBallantine’s 17年をはじめとする高級ブレンデッドスコッチの中核原酒として長年にわたって重要な役割を果たしてきた。特にBallantine’s 17年は世界的なウイスキーコンペティションで繰り返し賞を受け、その骨格を担う原酒のひとつとしてミルトンダフの品質は業界内で広く認識されている。

1981年にはロモンドスチル(Lomond still)と呼ばれる特殊な蒸留器を廃止し、現在のポットスチル体制に統一。ロモンドスチル時代に生産された「モストウィー(Mosstowie)」という別銘柄の原酒は、現在でもコレクターの間で高い価値を持つ。現在はChivas Brothers(Pernod Ricard)の所有のもと、ミルトンダフ10年が公式シングルモルトとしてリリースされている。

基本情報

正式名称 Miltonduff Distillery
創業年 1824年
操業状況 稼働中
所有会社 Chivas Brothers (Pernod Ricard)
見学 不可能

蒸留所情報

蒸留方式 ポットスチル
モルト使用 シングルモルト
水源 ブラックバーン(Black Burn)
熟成倉庫 ダンネージ式・ラック式
年間生産量 590万リットル/年
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ミルトンダフ

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 Speyside, Scotland
住所 Miltonduff, Elgin IV30 8TQ, UK
郵便番号 IV30 8TQ

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。