ノッカンドゥ蒸留所(Knockando Distillery)|スコットランド・スペイサイドのスコッチウイスキー蒸留所

ノッカンドゥ蒸留所は、スコットランド・スペイサイドのスペイ川支流リヴェット川沿いに位置するスコッチウイスキー蒸留所だ。1898年にジョン・トンプソン(John Thompson)によって創業され、軽やかでフローラルなスペイサイドスタイルのモルトウイスキーを生産してきた。現在はDiageo傘下で稼働し、J&Bブレンドの重要原酒として広く使用されている。

ノッカンドゥはゲール語で「黒い丘」を意味し、蒸留所が建つ地名に由来する。収穫年と瓶詰め年を両方ラベルに表示するヴィンテージ年表示システムで知られ、通常の熟成年数表示とは異なる哲学でウイスキーの個性を表現する。ブレンダーたちに長年愛されてきたキャラクターは、透明感のある果実味と繊細なフローラルノートが特徴だ。

特徴

ヴィンテージ年表示システムで知られるスペイサイド蒸留所。収穫年と瓶詰め年を明示し、原酒の個性を重視した独自の熟成哲学を持つ。J&Bブレンドの重要原酒として長年使用されてきた軽やかでフローラルなスタイルが特徴。

歴史

1898年、ジョン・トンプソン(John Thompson)によりスペイサイドのリヴェット川沿いに創業。スペイ川支流の豊富な軟水と良質な大麦を活かしたモルト生産を開始し、スペイサイド産地の一翼を担う蒸留所として歩み始めた。

20世紀を通じてJ&Bブレンデッドウイスキーの重要原酒として機能し、ブレンダーたちに高く評価されてきた。Diageoの前身であるインターナショナル・ディスティラーズ&ヴィントナーズ(IDV)グループ傘下となり、安定した高品質生産を維持してきた。

ノッカンドゥの最大の特徴は、収穫年(harvest year)と瓶詰め年(distillation year)を両方ラベルに明示するヴィンテージ年表示システムだ。通常の加水熟成年数表示とは異なり、原酒がいつの大麦から生まれ、いつ蒸留されたかを消費者に伝えるこの哲学は、スコッチ業界でも珍しい取り組みとして知られている。

基本情報

正式名称 Knockando Distillery
創業年 1898年
操業状況 稼働中
所有会社 Diageo
見学 不可能
公式サイト https://www.malts.com/en-row/distilleries/knockando/
Wikipedia Wikipedia

蒸留所情報

蒸留器数 ウォッシュスチル2基、スピリットスチル2基
蒸留方式 ポットスチル
モルト使用 スコットランド産大麦麦芽
水源 リヴェット川(Cardnach Spring)
熟成倉庫 ダンネージ式熟成庫
年間生産量 年間約130万リットル
使用樽 アメリカンオーク(エックス・バーボン)、シェリーカスク
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ノッカンドゥ

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 スコットランド
住所 Knockando, Aberlour AB38 7RT, UK
郵便番号 AB38 7RT

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。