キルベガン蒸留所(Kilbeggan Distillery)|アイルランド・ウェストミースのアイリッシュウイスキー蒸留所

キルベガン蒸留所は1757年に創業した、世界最古の認可を受けた蒸留所のひとつ。アイルランド中部ウェストミース州のブロスナ川沿いに位置し、18世紀の石造り建築と200年以上の歴史を持つ花崗岩倉庫、そして世界最古とされる現役の銅製ポットスチルを備える歴史的施設だ。1954年に一度閉鎖されたが、1987年にクーリー蒸留所(ジョン・ティーリング)に買収され熟成庫として活用されるようになり、2007年には創業250周年を機に蒸留を再開。現在はサントリー グローバル スピリッツの傘下で稼働している。

最大の見どころは1800年代初頭に旧タラモア蒸留所から移設した銅製ポットスチル(世界最古の現役稼働スチル)と、ブロスナ川の流れで動く大水車。訪問者はかつてジョン・ロック(19世紀オーナー)が経営していた当時のままに保存された蒸留所内を見学でき、ウィンストン・チャーチルが愛飲したという逸話でも知られる。ダブルディスティレーション(2回蒸留)というアイリッシュとしては珍しい方式と、ライ麦やオーツ麦を使った個性的なラインナップが特徴だ。

特徴

・1757年創業、世界最古レベルの認可を受けた蒸留所
・世界最古とされる現役銅製ポットスチル(1800年代初頭製造、旧タラモア蒸留所から移設)
・ブロスナ川の水車を動力とする歴史的設備が現存
・ダブルディスティレーション(2回蒸留)採用
・ウィンストン・チャーチルが愛飲したことで知られる
・1954年閉鎖→1987年クーリー蒸留所が取得→2007年創業250周年で蒸留再開
・現在はSuntory Global Spirits傘下
・博物館・バー・レストラン併設、見学ツアー常時実施

歴史

キルベガン蒸留所の歴史は1757年にマシュー・マクマナスがウェストミース州キルベガンのブロスナ川沿いで蒸留の認可を取得したことに始まる。その後ロック家(Locke family)の長期経営を経て、19世紀にジョン・ロックのもとで全盛期を迎えた。川の流れを利用した大水車で大麦を挽き、ブロスナ川の清冽な水を仕込みに用いるという伝統的な製法が続けられたが、アイルランド独立後の混乱やアメリカ禁酒法の影響でアイリッシュウイスキー産業が衰退。1954年(一説には1957年)に蒸留を停止した。

長らく廃墟同然となっていた施設は1987年にジョン・ティーリングのクーリー蒸留所が取得し、クーリーで蒸留したウイスキーの熟成庫として復活。その後2007年の創業250周年を機に蒸留設備を修復・増強して自社での蒸留を再開した。この際に活用されたのが、かつて旧タラモア蒸留所(1800年代初頭)から移設されていた銅製ポットスチルで、現在も現役で稼働する世界最古クラスのスチルとして蒸留所のシンボルになっている。2012年にクーリーとともにBeam Inc.に買収、2014年にサントリーがBeamを取得したことでサントリー グローバル スピリッツ傘下となり、現在に至る。

基本情報

正式名称 Kilbeggan Distillery
創業年 1757年
操業状況 稼働
所有会社 Suntory Global Spirits(サントリー グローバル スピリッツ)
見学 可能
公式サイト https://www.kilbegganwhiskey.com/
Wikipedia Wikipedia
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蒸留所情報

蒸留器数 銅製ポットスチル2基(ウォッシュスチル3,000L・スピリットスチル2,000L)※世界最古の現役ポットスチルを含む
蒸留方式 ダブルディスティレーション(2回蒸留)※アイリッシュとしては異色の方式(クーリー蒸留所と同系統)
水源 ブロスナ川(River Brosna)
主力ジャンル ウイスキーアイリッシュウイスキー
主要ブランド キルベガン
【ブレンデッド】キルベガン ブレンデッド アイリッシュウイスキー【スモールバッチライ】キルベガン スモールバッチ ライ(ライ麦30%)【シングルグレーン】キルベガン シングルグレーン(コーン94%・モルテッドバーリー6%)【シングルポットスチル】キルベガン シングルポットスチル(18世紀レシピ復刻、オーツ麦2.5%含む)【シングルモルト】タイルコネル(The Tyrconnell)各種フィニッシュ【ピーテッド】コネマラ(Connemara)ピーテッドシングルモルト

代表銘柄

所在地

アイルランド
都道府県州 ウェストミース県
住所 Lower Main Street, Aghamore, Kilbeggan, Co. Westmeath
郵便番号 N91 W67N

この地域について

アイルランド中部ミッドランドの中心に位置するウェストミース県は「湖の県」とも呼ばれ、リー湖・デラヴァラ湖・エネル湖・オウエル湖など大小無数の湖沼が織りなす穏やかな水辺の風景が広がります。シャノン川最大の支湖のひとつであるリー湖はヨット航行も可能で、1770年創設と世界で2番目に古い帆走クラブが今も活動しています。デラヴァラ湖はグリーンランドヒメコハクチョウやコハクチョウが飛来するEUの特別保護区域に指定された自然の宝庫です。

シャノン川が流れる西の要衝アスロンは、12世紀に木造砦として始まり1691年のボイン川の戦いにも関わる歴史を持つアスロン城で知られます。城のすぐ近くには900年の歴史を持つアイルランド最古のパブ「ショーンズ・バー」も現存します。

そしてこの県の最大の誇りが、1757年にマシュー・マクマナスが認可を受けたキルベガン蒸留所です。世界最古の認可蒸留所として知られ、長年の閉鎖を経て創業250周年の2007年に蒸留を再開しました。19世紀製の水車が今も稼働する石造りの建物を巡るガイドツアーでは、伝統的なアイリッシュウイスキー製造の歴史を全身で体感できます。