嘉之助蒸溜所は、1883年創業の鹿児島の老舗焼酎メーカー・小正醸造株式会社が2017年11月に日置市吹上浜(東シナ海に面した砂丘地帯)に設立したモルトウイスキー蒸溜所。蒸溜所の名は、焼酎「メローコヅル」で知られる二代目社長・小正嘉之助に由来し、先人への敬意を込めた命名である。焼酎蔵が長年培った蒸留技術と樽熟成のノウハウを、ウイスキー製造に応用するという挑戦的なコンセプトで立ち上げられた。
製造面での最大の特徴は、クラフト蒸溜所としては世界的にも珍しい3基のポットスチルを備えること。それぞれ容量・形状が異なる3基を使いこなし、多様な酒質の原酒を生み出すことができる。また、冷却設備に屋内ワームタブを採用しており、より豊かな風味の残留を促している。温暖な薩摩の気候が寄与するリッチな熟成と、海に近い立地が生む潮気のニュアンスが嘉之助の個性を形作っている。
2019年のTWSCで「ベスト・ジャパニーズ・クラフトディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのを皮切りに、国際的な評価が急速に高まった。2025年には「嘉之助 DOUBLE DISTILLERY」がワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2025のブレンデッドウイスキー部門(レスト・オブ・ワールド)で最高金賞を受賞。英大手ディアジオとの協業も報じられるなど、国際的な流通面でも次のステージに進む注目の蒸溜所となっている。