スコットランド北ハイランドのテイン近郊に位置するグレンモーレンジィ蒸留所は、1843年創業のハイランドを代表する蒸留所である。スコットランドで最も背の高いポットスチル(約8m)を使用し、重い不純物が届かないことで軽やかで優雅なニューメイクスピリットが生み出される。
1996年に業界初の「エキストラマチュアード」シリーズを発売し、世界的なウッドフィニッシュブームを牽引したパイオニア的蒸留所。現在はLVMH傘下のグレンモーレンジィ社が運営し、年間約720万リットルを生産する。
酒で紡ぐ世界の酒図鑑
スコットランド北ハイランドのテイン近郊に位置するグレンモーレンジィ蒸留所は、1843年創業のハイランドを代表する蒸留所である。スコットランドで最も背の高いポットスチル(約8m)を使用し、重い不純物が届かないことで軽やかで優雅なニューメイクスピリットが生み出される。
1996年に業界初の「エキストラマチュアード」シリーズを発売し、世界的なウッドフィニッシュブームを牽引したパイオニア的蒸留所。現在はLVMH傘下のグレンモーレンジィ社が運営し、年間約720万リットルを生産する。
敷地での醸造・蒸留の記録は1703年にまで遡り、1843年にウィリアム・マシソンが農場ごと引き取り、中古のジン用スチルを転用して蒸留所として正式に改装した。「グレンモーレンジィ」はゲール語で「穏やかな谷」を意味する。1887年に大規模に再建・組織化された。
1990年に4基のスチルを追加(計8基)。1996年に業界初となる「エキストラマチュアード」シリーズを発売し、シェリー・ポート・ソーテルヌ各種の木樽フィニッシュ技術を世界に広める先駆者となった。
2004年にLVMHが約3億ポンドでグレンモーレンジィ社(アードベッグを含む)を買収。2009年にさらに4基スチルを追加し計12基体制に拡張した。現在は幅広いウッドフィニッシュ表現と高品質なコアレンジで世界の主要市場を席巻している。
| 正式名称 | Glenmorangie Distillery |
|---|---|
| 創業年 | 1843年 |
| 操業状況 | 稼働中 |
| 所有会社 | The Glenmorangie Company Ltd.(LVMH傘下) |
| 見学 | 可能 |
| 公式サイト | https://www.glenmorangie.com/ |
| Wikipedia | Wikipedia |
| 蒸留器数 | ウォッシュスチル6基・スピリットスチル6基(計12基) |
|---|---|
| 蒸留方式 | ポットスチル |
| モルト使用 | シングルモルト |
| 水源 | タルロジン湧水(Tarlogie Springs) |
| 熟成倉庫 | ダンネージ倉庫・ラック倉庫 |
| 年間生産量 | 約7,200,000 LPA |
| 使用樽 | アメリカンホワイトオーク(バーボン)樽、シェリー樽、ポート樽、ソーテルヌ樽、フィノシェリー樽など多様なフィニッシュ樽 |
| 主力ジャンル | ウイスキー、スコッチウイスキー |
| 主要ブランド |
グレンモーレンジィ グレンモーレンジィ ザ・オリジナル(10年) グレンモーレンジィ ラサンタ(シェリーカスクフィニッシュ) グレンモーレンジィ クインタルバン(ポートカスクフィニッシュ) グレンモーレンジィ ネクタードール(ソーテルヌカスクフィニッシュ) グレンモーレンジィ18年 |
| 国 | イギリス |
|---|---|
| 都道府県州 | ハイランド |
| 住所 | Glenmorangie Distillery, Tain, Ross-shire, IV19 1PZ, Scotland, UK |
| 郵便番号 | IV19 1PZ |
スコットランド北部ハイランド地方のイースター・ロス半島は、クロマティ湾とドーノッホ湾に挟まれた穏やかな農業地帯だ。金色の大麦畑が海岸線まで続き、入り江と丘陵が織りなす牧歌的な景観は、ドーノッホ湾岸に立つグレンモーレンジィのブランドイメージそのものを体現している。温帯海洋性気候と良質な農地が育む大麦、そして蒸留所が専用水源として利用するターロジ・ウェルズの硬水——これらの恵みが軽快でエレガントなハイランド・スタイルのウイスキーを生み出してきた。
半島の中心都市テイン(Tain)は1066年にマルコム3世から王立勅許状を授与されたスコットランド最古の王立自治都市(Royal Burgh)の一つだ。7世紀に生まれた地元の聖人デュスタン(St. Duthac)への信仰を核に発展したこの町は、13世紀に聖遺物がアイルランドから返還されて以来スコットランド有数の巡礼地となり、スコットランド王ジェームズ4世が繰り返し参拝に訪れたことでも知られる。1370〜1430年に建造された聖デュスタン礼拝堂は現在「テイン・スルー・タイム」博物館として公開されており、1,000年に及ぶ地域の歴史を伝えている。
ピクト人の石碑が点在するイースター・ロスは18〜19世紀に「フェリントッシュ」の名でハイランド・ウイスキーの代名詞として広く知られ、特権廃止をロバート・バーンズが詩で嘆いた故事はスコットランドの文化史に刻まれている。世界最高峰のゴルフコースとして名高いロイヤル・ドーノックも近郊にあり、近年はノース・コースト500(NC500)ドライブルートの主要スポットとして世界中から観光客を集めている。
1703年にモランジー農場での蒸留記録が残り、1843年にウィリアム・マシスンが正式蒸留所として開業したグレンモーレンジィは、高さ約8mというスコットランド最長のポットスチルで軽快な酒質を磨き、1983年以降スコットランドで最も売れるシングルモルトとして君臨し続ける。