グレンゴイン蒸留所は1833年、スコットランドのスターリングシャー・ダムゴイン(Dumgoyne)にジョージ・コネル(George Connell)が「バーンフット(Burnfoot)蒸留所」として創業した。ハイランドとローランドの境界線として知られるハイランド・バウンダリー断層(Highland Boundary Fault)のすぐ北側に位置するため、製造拠点(蒸留所)はハイランド、熟成倉庫(ウェアハウス)は断層線の南側ローランドに属するという世界でも珍しい構造を持つ。1876年にラング・ブラザーズ(Lang Brothers)が取得し、「グレン・グイン(Glen Guin)」という名で呼ばれていたが、1905年頃に現在の「グレンゴイン(Glengoyne)」に改称された。名の由来はゲール語で「野生の雁の谷」とも解釈される。
グレンゴインの最大の特徴は「ノン・ピーテッドモルト」へのこだわりだ。スコットランドの多くの蒸留所がピートでモルトを乾燥させる伝統を持つのに対し、グレンゴインは創業当初からピートを一切使用しない非泥炭乾燥モルトを採用し、クリーンでフルーティな風味を追求してきた。また蒸留速度が極めて遅く、業界最遅クラスの蒸留を行うことで独自のオイリーなテクスチャーと複雑な果実香を生み出している。2003年にイアン・マクロード・ディスティラーズ(Ian Macleod Distillers)が取得し、シェリー樽熟成を軸にしたラインナップを強化した。
グレンゴインは国際的な品評会での受賞歴も豊富で、10年物は2007年サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでゴールドメダルを獲得、同コンペ2024年でも金賞を受賞している。国際スピリッツ・チャレンジ(ISC)でも定期的に金賞・銀賞を受賞しており、ダブルゴールドも獲得している。特に18年物はシェリーオーク由来の複雑なバニラと柑橘のバランスが高く評価され、英国やスカンジナビアのウイスキー愛好家から熱烈な支持を受けている。