グレンフィディック蒸留所(Glenfiddich Distillery)|スコットランド・スペイサイドのスコッチウイスキー蒸留所

スペイサイドのダフタウンに建つグレンフィディック蒸留所は、1887年のクリスマスに初蒸留を行ったウィリアム・グラントが創業した独立系蒸留所の雄である。「鹿の谷」を意味するゲール語を冠し、43基という世界有数のポットスチルを擁して年間約2,100万リットルを生産する。

5代にわたる完全な家族経営のもと、世界で最も売れるシングルモルトスコッチウイスキーとしての地位を堅持。バーボン樽とシェリー樽によるダブルマチュレーションを主軸に、12年から50年超までの幅広いレンジを展開する。

特徴

世界で最も売れるシングルモルトスコッチウイスキー。43基のポットスチルを擁する独立系最大規模の蒸留所で、5代にわたる完全な家族経営を維持している。バーボン樽とシェリー樽によるダブルマチュレーションが特徴で、世界で最も受賞数の多いシングルモルトとして国際的に高い評価を誇る。

歴史

ウィリアム・グラントは1886年に9人の子供たちとともに自力でダフタウンに蒸留所を建設し、1887年のクリスマスに初蒸留を行った。近隣のモートラック蒸留所で20年間修行した後に独立した彼は、独自の技術と情熱でスペイサイドに新たな拠点を開いた。


1892年には隣接地にバルヴェニー蒸留所を建設。1963年にはサンディ・グラント・ゴードン(創業者の曾孫)がシングルモルトを積極的にマーケティングし、スコットランド国外へのプロモーションを展開した業界の先駆者となった。


現在も創業家5代目の完全ファミリーオーナーシップのもと、年間約2,100万リットルという独立系最大規模の生産体制を維持。世界100か国以上に輸出され、シングルモルトスコッチウイスキーの代名詞的存在として世界市場をリードし続けている。

基本情報

正式名称 Glenfiddich Distillery
創業年 1887年
操業状況 稼働中
所有会社 William Grant & Sons Ltd.
見学 可能
公式サイト https://www.glenfiddich.com/
Wikipedia Wikipedia

蒸留所情報

蒸留器数 ウォッシュスチル16基・スピリットスチル27基(計43基)
蒸留方式 ポットスチル
モルト使用 シングルモルト
水源 ロビニー湧水(Robbie Dhu Springs)
熟成倉庫 ダンネージ倉庫・パレット倉庫
年間生産量 約21,000,000 LPA
使用樽 バーボン樽(アメリカンホワイトオーク)、オロロソシェリー樽、ラム樽
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド グレンフィディック
グレンフィディック12年
グレンフィディック15年(ソレラ)
グレンフィディック18年
グレンフィディック21年(ラムカスク)
グレンフィディック グランシングルモルト23年

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 スペイサイド
住所 Glenfiddich Distillery, Dufftown, Keith, AB55 4DH, Scotland, UK
郵便番号 AB55 4DH

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。

受賞歴

コンテストグレード銘柄
2024 ISC 金賞 グレンフィディック 12年 スペシャルリザーブ
2024 SFWSC ダブルゴールド グレンフィディック 12年 スペシャルリザーブ
2023 ISC 金賞 グレンフィディック 12年 スペシャルリザーブ