テネシー州タラホマのカスケード・ホローに位置するジョージ・ディッケル蒸留所は、ジャックダニエルと並ぶテネシーウイスキーの二大銘柄のひとつ。「Whisky」(e抜き)とスコッチ式綴りを採用し、冬蒸留の伝統を守るという独自のこだわりを持つ。
ディアジオ傘下で展開してきたが、2025年9月から在庫過剰調整のため2026年6月まで蒸留・樽詰めを一時停止中。ビジターセンターと見学ツアーは継続営業している。
酒で紡ぐ世界の酒図鑑
テネシー州タラホマのカスケード・ホローに位置するジョージ・ディッケル蒸留所は、ジャックダニエルと並ぶテネシーウイスキーの二大銘柄のひとつ。「Whisky」(e抜き)とスコッチ式綴りを採用し、冬蒸留の伝統を守るという独自のこだわりを持つ。
ディアジオ傘下で展開してきたが、2025年9月から在庫過剰調整のため2026年6月まで蒸留・樽詰めを一時停止中。ビジターセンターと見学ツアーは継続営業している。
ジョージ・A・ディッケルは1850年代にナッシュビルで酒類小売業を始め、1870年代にカスケード・ホローの蒸留所の卸売・販売事業者として頭角を現した。20世紀初頭、テネシー州の禁酒法施行(1910年)前に多くの事業が閉鎖された。
1959年7月4日に現在地で最初のマッシュを仕込み、1964年にジョージ・ディッケル・テネシーウイスキーが正式に発売。シーグラム社、ディアジオへとオーナーが変遷した。2003年に一度生産を停止し2007年に再開した前歴もある。
2022年にDiaGeoが在庫調整のため一時停止を発表し、2025年9月には再び2026年6月まで蒸留・樽詰め操業を停止することが明らかになった。ビジターセンターはツアー・テイスティングを継続中。
| 正式名称 | Cascade Hollow Distilling Co. (George Dickel) |
|---|---|
| 創業年 | 1870年 |
| 操業状況 | 休止中 |
| 所有会社 | Diageo plc |
| 見学 | 可能 |
| 公式サイト | https://www.georgedickel.com/ |
| Wikipedia | Wikipedia |
| 蒸留器数 | 不明 |
|---|---|
| 蒸留方式 | コラムスチル+チャコール・メローイング |
| モルト使用 | テネシーウイスキー(コーン主体) |
| 水源 | カスケード・スプリング(石灰岩湧水) |
| 熟成倉庫 | リックハウス |
| 年間生産量 | 不明(2025年9月より一時停止中) |
| 使用樽 | 新品チャー付きアメリカンオーク樽 |
| 主力ジャンル | ウイスキー、テネシーウイスキー |
| 主要ブランド |
ジョージディッケル George Dickel No.8 George Dickel No.12 George Dickel Bottled in Bond George Dickel Single Barrel George Dickel Rye |
| 国 | アメリカ合衆国 |
|---|---|
| 都道府県州 | テネシー州 |
| 住所 | 1950 Cascade Hollow Rd, Tullahoma, TN 37388, USA |
| 郵便番号 | TN 37388 |
テネシー州はアパラチア山脈の西側斜面からミシシッピ川に至る広大な州で、中央部のナッシュビルを中心にカントリーミュージックの故郷として世界的に知られる。一方で、テネシー州南部の農業地帯は石灰岩の清冽な湧水とオークの豊富な森林資源に恵まれ、独自の蒸留文化が根づいてきた。
テネシーウイスキーはバーボンとは別の独立したカテゴリーとして法律で規定されており、蒸留後の新酒をサトウカエデの炭に通してろ過する「リンカーン郡プロセス(チャコールメローイング)」が最大の特徴である。この工程により、バーボンとは異なるなめらかで甘みのある風味が生まれ、テネシー独自のウイスキー文化を形成している。
テネシー州ムーア郡は現在も州法で酒類販売が制限されている「ドライカウンティ」でありながら、世界最大のウイスキーブランドの生産地であるという歴史的逆説を抱える。南部の保守的な農村文化と世界規模のウイスキー産業が共存するこの地は、アメリカのウイスキー史において唯一無二の存在感を放っている。