江井ヶ嶋酒造は1888年(明治21年)に兵庫県明石市江井ヶ島に創業した清酒・焼酎メーカー。1919年にウイスキー製造免許を取得し、日本で初期からウイスキーを造ってきた老舗蔵のひとつである。瀬戸内の海風が吹く「西灘」の酒どころで、清酒製造の技術と文化が根付いた環境でウイスキーも作り続けてきた。現在の蒸溜棟は1984年に整備されたものを使用している。
製造の最大の特徴は、日本酒の杜氏がウイスキー造りも担当し、清酒由来の「酒母立て」技術を発酵工程に応用している点。長めの発酵期間でボディ感のある豊かな麦汁を仕込み、スコッチスタイルの蒸溜を経て独自のシングルモルトを生み出している。通年稼働ではなく清酒シーズン以外にウイスキーを蒸溜するサイクルを取ることで、一蔵の職人が日本酒とウイスキー両方の品質に責任を持つ体制を維持している。
「あかし」ブランドのシングルモルトは近年の国際コンテストで金賞を重ね、長年の地道な熟成が実を結んでいる。2022年よりヴァッティングシリーズ「EIGASHIMA」を立ち上げ、複数の原酒を組み合わせた複雑な表現でも評価が高まっている。日本一海に近い蒸溜所として潮風が熟成に与える影響も独自の個性のひとつと語られており、アイラ島に通じる海洋的なニュアンスを持つウイスキーとして愛好家の間で支持を集めている。