ダルウィニー蒸留所は1897年、ジョン・グラント(John Grant)、アレクサンダー・マッケンジー(Alexander Mackenzie)、ジョージ・セラー(George Sellar)によって「ストラスペイ蒸留所(Strathspey Distillery)」として創業された。翌1898年2月に生産を開始したが間もなく経営難に陥り、1898年10月にはA.P.ブライス(A.P. Blyth)が競売で買収し「ダルウィニー」に改称した。1905年には米国最大の蒸留業者クック&バーンハイマー(Cook and Bernheimer)が当時としては低廉な1,250ポンドで取得するという異色のエピソードを持ち、1919年にスコットランド系資本であるマクドナルド・グリーンリーズ(Macdonald Greenlees)が買い戻した。その後はスミス&グラント、DCL(ディスティラーズ・カンパニー)を経てディアジオの傘下に入っている。
スコットランドで最も高い場所(標高326m)に位置するダルウィニーは、年間を通じて気温が低く、冬期には氷点下が続く過酷な環境にある。スペイ川の源流域に近いこの地では清冽な雪解け水を仕込み水とし、穏やかで蜂蜜のような甘みとヘザー(エリカ)の花香が特徴のクリーンなハイランドモルトが生み出される。1989年にはスコッチウイスキー協会とディアジオが共同選定する「クラシック・モルト・オブ・スコットランド(Classic Malts of Scotland)」の一蔵に選ばれ、ハイランドを代表するシングルモルトとして国際的な地位を確立した。
ダルウィニーの代表銘柄は1988年にリリースされた「15年」で、2009年のIWSC(国際ワイン&スピリッツコンペティション)でベスト・イン・クラス(Best in Class)を受賞した。ジム・マレー(Jim Murray)もウイスキーバイブルで95点の高スコアを与えており、高地のクリーンな個性と蜂蜜・バニラ・アーモンドの甘みが高く評価されている。「ウィンターズ・ゴールド(Winter’s Gold)」は冬限定の特別バージョンとして人気が高く、世界各地のウイスキー愛好家が入手を争うこともある。サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでは「ファースト・プライズ」を受賞した実績もあり、世界的な評価は確固としている。