ダルモア蒸留所(The Dalmore Distillery)|スコットランド・ハイランドのスコッチウイスキー蒸留所

ダルモア蒸留所は、スコットランド北ハイランドのアルネスに位置する1839年創業の蒸留所だ。Whyte & Mackay(エンペラドール社傘下)が所有し、12点の王冠を持つ雄鹿のエンブレムで知られる。多種多様なシェリー樽・ポートパイプ・コニャック樽・マデイラ樽を組み合わせたマルチカスクマチュレーションが独自のハウススタイルで、世界最高価格帯のシングルモルトリリースでも知られる。

クロマティ湾に面した北ハイランドの肥沃な土地に根ざし、年間約420万Lを生産する大規模蒸留所だ。マスターブレンダーのリチャード・パターソン氏が生み出す超高額限定品シリーズは世界中のコレクターから注目を集めており、スコッチウイスキー業界でラグジュアリーの象徴的存在となっている。

特徴

12点王冠の雄鹿エンブレム。マルチカスクマチュレーション(シェリー・ポート・コニャック・マデイラ等)が独自スタイル。世界最高価格帯のシングルモルトリリースで知られる超ラグジュアリーブランド。クロマティ湾岸の北ハイランドに立地。

歴史

ダルモア蒸留所は1839年、地主アレクサンダー・マゼソンによってクロマティ湾沿いのアルネスに設立された。蒸留所名は「大きな牧草地」を意味するゲール語に由来する。1867年にアンドリュー・チャールズ・マッケンジー兄弟が取得し、以降1世紀近くマッケンジー一族が所有。1874年のチーフ救出の故事に因んだ12点の王冠を持つ雄鹿のエンブレムを採用し、ダルモアのシンボルとして現在に至る。


第一次世界大戦中の1917〜19年、蒸留所はアメリカ海軍に接収され機雷製造施設として転用された。その過程で1920年に爆発事故が発生し施設の大部分が損壊したが、マッケンジー家は再建に尽力した。1960年にスコッチブレンドの老舗ホワイト&マッカイが買収して現在の運営体制の基盤を作り、1966年のスチル倍増(4基→8基)により世界でも有数の生産規模に拡大した。


マスターブレンダー、リチャード・パターソン氏のもとでコニャック樽・マデイラ樽・ポートパイプ・シェリー樽を組み合わせるマルチカスクマチュレーションを確立。超高額限定品シリーズは世界中のコレクターから注目を集める。2014年よりフィリピン系エンペラドール社傘下のWhyte & Mackay傘下となり、現在は大規模な拡張計画を推進中。

基本情報

正式名称 The Dalmore Distillery
創業年 1839年
操業状況 稼働中
所有会社 Whyte & Mackay Ltd.(エンペラドール社傘下)
見学 不可(2026年まで改修工事中のため休止)
公式サイト https://www.thedalmore.com/
Wikipedia Wikipedia
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蒸留所情報

蒸留器数 8基(ウォッシュスチル4基・スピリットスチル4基)
蒸留方式 ポットスチル(2回蒸留)
モルト使用 無泥炭モルテッドバーリー
水源 ベン・ワイヴィス山麓の水源
熟成倉庫 ダンネージ式4棟・ラック式5棟(計9棟)
年間生産量 年間約420万L
使用樽 アメリカンオーク(バーボン)樽、オロロソシェリー樽、タウニーポートパイプ、マデイラ樽、マタサレム樽
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ダルモア
The Dalmore 12
The Dalmore 15
The Dalmore 18
The Dalmore King Alexander III
The Dalmore Cigar Malt Reserve
The Dalmore Port Wood Reserve

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 ロス&クロマティ
住所 Alness, Ross-shire, IV17 0UT, Scotland, UK
郵便番号 IV17 0UT

この地域について

スコットランド北ハイランドのロス&クロマティ地方は、インヴァネスの北方に広がる入り組んだ海岸線と肥沃な農地を持つ地域だ。クロマティ湾(Cromarty Firth)はスコットランド屈指の天然深水湾で、第一次・第二次世界大戦中には英国海軍の重要な艦隊泊地として機能した。戦後は北海油田開発の拠点インヴァーゴードンが湾岸に発展し、石油プラットフォームの建造・修繕で知られる工業港として重要な役割を担ってきた。湾を取り囲む丘陵には肥沃な農地が広がり、スコットランド最北部の麦作地帯として大麦の良産地となっている。

クロマティ湾とモーレイ・ファースの間に横たわるブラック・アイル(Black Isle)半島はその名に反して島ではなく、温暖な気候と豊かな農地を持つ半島だ。フォートローズのチャノリー岬(Chanonry Point)はヨーロッパ有数のボトルノーズ・イルカの観察スポットとして知られ、上げ潮時には岸のすぐ近くで採食するイルカの群れを間近に見ることができる。ロスマーキーのグロアム・ハウス博物館にはピクト人が残した精緻な装飾文様の石碑が収蔵されており、スコットランド先史文化の高い芸術性を今に伝えている。

蒸留所のあるアルネス(Alness)はロス&クロマティの小都市で、かつてムンロー一族(Clan Munro)の本拠フーリス城が近郊に立つ歴史ある土地柄だ。北には標高1,046mのベン・ワイヴィス(Ben Wyvis)がそびえ、山麓から湧き出る清流がウイスキー製造の仕込み水として使われてきた。ダルモア蒸留所は1839年にクロマティ湾に面したこの地に創設され、多様なシェリー樽・ポートパイプ・コニャック樽を組み合わせたマルチカスク熟成スタイルで、北ハイランドを代表するシングルモルトとして世界市場で高い評価を得ている。

受賞歴

コンテストグレード銘柄
2024 ISC 金賞 ダルモア 18年