クライヌリッシュ蒸留所は1819年、サザーランド公爵によってスコットランド北部ブローラの地に創設された。公爵はハイランド・クリアランス(高地民撤去政策)で農民を海岸部の漁業地帯に移住させるとともに、余剰大麦を有効活用する目的で蒸留所を建設した。その後も幾度かの所有者変更を経て、1896年にジョン・ウォーカー&サンズに買収され、ジョニーウォーカーのブレンド原酒として重要な役割を担うようになった。
1967年、増産に対応するため旧施設の隣に新しい蒸留所が建設され、「クライヌリッシュ」の名称は新施設に引き継がれた。翌1969年には旧施設が「ブローラ」として再稼働し、1983年の閉鎖まで独自の重口スタイルで希少なモルトを生産し続けた。現在はディアジオが所有し、ジョニーウォーカーブレンドの核心原酒として、また独自のシングルモルトとして国際市場で高い評価を受けている。
蒸留所が位置するサザーランドは、北海岸500マイルルート(NC500)沿いにあり、壮大な自然景観と組み合わせた観光地としても注目される。クライヌリッシュのウイスキーはワクシー(蜜蝋)な独特のテクスチャーで知られ、スパイシーさと柑橘系の果実感が融合したスコッチ愛好家の間でカルト的な支持を誇る個性派ハイランドモルトである。