知多蒸溜所は、サントリーが1972年に愛知県知多市に設立したグレーンウイスキー蒸溜所。正式社名はサントリー知多蒸溜所株式会社で、翌1973年に蒸留棟が竣工し、グレーンウイスキーの生産を本格的に開始した。当初はサントリーと全国農業協同組合中央会(JA全農)の合弁事業として出発し、国産グレーンウイスキーの大規模製造を担う拠点として設計された。
連続式多段蒸留機を駆使して、一般的なグレーン蒸溜所では難しい3種類の酒質──ヘビー・ミディアム・クリーン──を作り分けるのが最大の特徴。段数を変えることで風味の幅を自在に調整し、各タイプを樽で長期熟成させる。これらの原酒は「響」「角瓶」など名だたるブレンデッドウイスキーに配合され、モルト原酒の個性を引き立てる縁の下の力持ちとして機能している。
2015年に初のシングルグレーンウイスキー「知多」を発売し、グレーン原酒単体の繊細さとエレガンスを世界に示した。以後、国際的なウイスキーコンテストで連続入賞を果たし、シングルグレーンというカテゴリーの価値を高める存在として高く評価されている。年間を通じて安定した生産と品質管理を行いながら、サントリーウイスキーの根幹を支え続ける蒸溜所である。