カリラ蒸留所(Caol Ila Distillery)|スコットランド・アイラのスコッチウイスキー蒸留所

カリラ蒸留所は、スコットランド・アイラ島北東部のポート・アスケイグ近郊に位置する1846年創業の蒸留所だ。「カリラ」はゲール語で「アイラ海峡」を意味し、ジュラ島を望む断崖上に建つ壮観な立地で知られる。現在はDiageoが所有し、年間約650万Lの生産量でアイラ島最大の蒸留所として稼働している。

ジョニーウォーカーをはじめとするDiageoのブレンデッドスコッチの重要なキーモルト供給源でありながら、「カリラ12年」「カリラ・モッホ」などのシングルモルトとしても高い評価を受ける。ピートと甘みのバランスが取れた飲みやすいアイラスタイルで、1972〜74年の全面建替えによって生まれたガラスカーテンウォールの近代的な建築も特徴的だ。

特徴

アイラ島最大の生産量(年間約650万L)。ジュラ島を望む断崖に立つ壮観な立地。ジョニーウォーカーのキーモルト供給源。ピートと甘みのバランスが取れた飲みやすいアイラスタイル。1974年建替えのガラスカーテンウォール建築が特徴的。

歴史

カリラ(「アイラ海峡」を意味するゲール語)は1846年にヘクター・ヘンダーソンによってアイラ島北東部の断崖に建設された。その立地は壮観な海景を誇る一方、物資輸送の困難さとも隣り合わせであった。1879年にジョン・ラム・ブロックが大規模改修を行い、以降はDCL前身グループが支配権を握る形で近代化が進んだ。


1930年の経済不況と第二次世界大戦中(1941〜45年)に操業を停止するも戦後に復活。1972年には建物全体が解体され、グラスゴーの建築家ジョージ・レスリー・ダージが設計したガラスカーテンウォールの近代建築に全面建替えされ、1974年に生産再開。この改築でスチルが2基から6基へと拡張された。


現在はDiageo傘下でアイラ島最大の生産量を誇る蒸留所として年間約650万Lを生産。ジョニーウォーカーをはじめとする同社ブレンドの重要なキーモルト供給源でありながら、独自のシングルモルトラインアップも展開している。2022年にビジターセンターをリニューアルオープン。

基本情報

正式名称 Caol Ila Distillery
創業年 1846年
操業状況 稼働中
所有会社 Diageo
見学 可能
公式サイト https://www.malts.com/en-gb/our-whisky-collection/caol-ila/
Wikipedia Wikipedia
SNS Instagram

蒸留所情報

蒸留器数 6基(ウォッシュスチル3基・スピリットスチル3基)
蒸留方式 ポットスチル(2回蒸留)
モルト使用 ヘビーピート(主体)、ノンピート(ブレンド向け一部)
水源 ロッホ・ナム・バン(Loch Nam Ban)
熟成倉庫 アイラ島内沿岸倉庫+グラスゴー近郊倉庫
年間生産量 年間約650万L(アイラ島最大)
使用樽 リフィルアメリカンオーク樽(主体)、バーボン樽、シェリー樽、モスカテル樽(ディスティラーズエディション用)
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド カリラ
Caol Ila 12 Year Old
Caol Ila Moch(ノンエイジ)
Caol Ila Distillers Edition(モスカテルカスクフィニッシュ)

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 アイラ島
住所 Port Askaig, Isle of Islay, Argyll, PA46 7RL, Scotland, UK
郵便番号 PA46 7RL

この地域について

スコットランド西部、インナー・ヘブリディーズ諸島の南端に浮かぶアイラ島は、本土アーガイルから約25kmの海峡を隔てた面積約620km²の島だ。人口わずか約3,000人のこの小島が「アイラスタイル」として世界に知られる独自のウイスキーを生む秘密は、島の大地に広がる特殊な泥炭(ピート)にある。海藻・海洋植物を含むアイラのピートは燃焼時にスモーキー・ヨード・磯の香りを放ち、大麦麦芽乾燥にこの煙を使うことで他に類を見ない個性が生まれる。現在10の蒸留所が稼働しており、各蒸留所のフェノール値はアードベッグ55ppm、ラフロイグ35ppm、ボウモア25ppmと個性はさまざまだ。

中世、アイラ島は「ロードシップ・オブ・ジ・アイルズ(Lordship of the Isles)」の中枢を担った。13〜15世紀にクラン・ドナルドの首長たちが拠点としたロッホ・フィンラガン(Loch Finlaggan)は、ヘブリディーズ諸島全体を支配する独立的な権力の座であり、湖内の評議会島ではスコットランドとアイルランドにまたがる広域議会が開かれた。新ロードの即位に際し戴冠石の上に裸足で立つ古式の儀礼が行われたこの聖地は「クラン・ドナルドの揺りかご」と呼ばれる。1493年にスコットランド王ジェームズ4世によりロードシップが廃止されるまで、アイラはゲール文化圏の政治・文化的中心地であり続けた。

8世紀に建てられたキルダルトン・クロス(Kildalton Cross)はスコットランドに現存する最も保存状態のよいケルト十字の一つで、アイルランドとアイラの深い文化的つながりを今に伝える。島北西部のRSPBロッホ・グルイナート自然保護区(約1,600ha)には世界のグリーンランドバーナクルグース個体数の約45%が越冬に訪れ、希少野鳥の宝庫としても知られる。毎年5月下旬に開催される「フェイシュ・イーレ(Fèis Ìle)」は世界中のウイスキーファンが集う巡礼の祭典で、各蒸留所が限定ボトルと特別体験を用意して島全体が沸き立つ。

1779年創業のボウモアをはじめ、1815年に同年創業したラフロイグとアードベッグを含む歴史ある蒸留所群が、アイラを単なる産地ではなく「ウイスキーの島」として世界に刻み込んでいる。