ベンロマック蒸留所は1898年にダンカン・マッカラムとF.W.ブリックマンによって、スコットランド北東部のモレー地方、フォレスの町近郊に設立された。スペイサイドの西端に位置するこの蒸留所は、操業開始から数十年の間に複数の経営者の手を渡り、20世紀には経済的困難から1983年に閉鎖に追い込まれた。その後10年間は廃墟同然だったが、エルギンに本拠を置く老舗ウイスキー商ゴードン&マクファイルが1993年に蒸留所を取得、約5年の大規模改修を経て1998年にチャールズ皇太子(現国王)の手によって正式に再開業した。
ゴードン&マクファイルによる復活後、ベンロマックは「クラシック・スペイサイド」スタイルの再現というコンセプトを掲げた。1960年代以前のスペイサイドウイスキーが持っていた、エレガントでフルーティかつわずかにスモーキーな個性を現代に蘇らせるため、小規模生産にこだわりながらも丁寧なクラフトマンシップで蒸留を行っている。仕込み水にはチャールマス泉の水を使用し、少量のヘビリーピーテッドモルトを混ぜることで独特の風味を生み出している。現在も年間生産量は比較的少なく、家族経営の独立系スピリッツ会社ゴードン&マクファイルが丁寧な品質管理のもと運営している。
ベンロマックは近年、国際的な評価が急速に高まっており、2014年のワールド・ウイスキー・アワードではベンロマック10年が「ベスト・スペイサイド・シングルモルト(12年以下)」部門でゴールドを獲得。グレンリベット、マッカラン、バルヴェニー、グレンフィディックなど錚々たる競合42ブランドを退けての受賞は業界に衝撃を与えた。またベンロマック・オーガニックは2006年に英国土壌協会(National Soil Association)が認定した最初の有機認証シングルモルトとして歴史に名を刻み、環境意識の高いウイスキー愛好家から熱烈な支持を受けている。コストパフォーマンスの高さでも知られ、ウイスキー専門メディアからも今日の市場で最良の10年熟成ウイスキーの一つと評価されている。
テイスティングノート
香り
フレッシュなオレンジ、グレープフルーツ、レモン。クリーミーな麦芽、バニラ、キャンプファイヤーのような控えめなスモーク。
味わい
バニラクリーム、甘いモルト、柑橘果汁、ナッツ、ほのかにスパイシーなオーク。軽くドライなスモーキーさが伴う。
余韻
スモークとスパイスが残り、中程度の長さ。ドライで心地よいビター感と果実の余韻。