ベンリアック蒸留所(BenRiach Distillery)|スコットランド・スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー蒸留所

ベンリアック蒸留所は1898年、すぐ隣に位置するロングモーン蒸留所の創業者でもあるジョン・ダフ(John Duff)によって設立された。「リアックの丘」を意味するスコットランド・ゲール語に由来する蒸留所名のとおり、エルギン南方のスペイサイド中心部に位置する。しかし設立からわずか2年後の1900年、ウイスキー取引会社パティスンズ社の破産を受けて生産を停止し、以後65年にわたって麦芽製造だけを続けながらロングモーンへ麦芽を供給し続けた。

1965年にグレンリベット・ディスティラーズ社によって再稼働。1970年代初頭にはハイランドピートを使ったピーテッドスピリットの生産を再開し、スペイサイドでは珍しいピート表現を確立した。2004年にはビリー・ウォーカー率いる独立系グループが取得し、個性的なシングルカスクボトリングを積極的に展開してブランド価値を大きく高めた。

2016年に米国のブラウン・フォーマン社がグレンドロナック・グレングラソーとともに取得。「クラシック・ノンピート」「スモーキー・ピーテッド」「トリプルディスティルド」という3スタイルを並行生産するスペイサイドで唯一の蒸留所として、Whisky Magazineが選ぶ「Icons of Scotland Distillery of the Year」を3度受賞している。

特徴

スペイサイド・エルギン近郊の蒸留所。ノンピート、ピーテッド、トリプルディスティルドの3スタイルを生産。多様なカスクフィニッシュで知られる。

基本情報

創業年 1898年
見学 不明
公式サイト https://www.benriachdistillery.com/

蒸留所情報

蒸留器数 4
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド ベンリアック
ベンリアック
The Original Ten
The Smoky Ten

代表銘柄

所在地

イギリス

この地域について

スコットランド北東部、インヴァネスとアバディーンの間に横たわるスペイサイドは、全長172kmのスペイ川が灌漑する豊かな農業地帯だ。源流をモナドリアス山地のロッホ・スペイ(標高約300m)に持つスペイ川は、スコットランド第3の長さを誇り最も流れの速い川の一つで、ケアンゴームズ国立公園を抜けてモーレイ・ファース(Moray Firth)へと注ぐ。川が育む軟水とミネラルバランス、周辺農地の良質な大麦、ケアンゴームの泥炭——この三拍子が世界最高密度のウイスキー産地を形成した背景にある。スペイ川はまた「スペイキャスト」と呼ばれる独自のフライフィッシング技法の発祥地として知られ、サーモン釣りを求める世界中のアングラーを引き付ける英国随一の鮭川でもある。

1823年の消費税法(Excise Act)成立が密造横行の時代に終止符を打ち、翌1824年にジョージ・スミスがグレン・リヴェット渓谷で最初の合法免許を取得。モダン・スコッチ産業の礎を築いた。19世紀後半にグレート・ノース鉄道がスペイサイドに開通すると大麦・石炭・樽の輸送が一気に整い、各地で蒸留所創業ラッシュが起きた。現在も稼働する蒸留所はストラスアイラ(1786年創業・スコットランド最古の連続稼働蒸留所)からダフタウン、アベラワー、クレイゲラキまで50以上が密集し、2009年のスコッチウイスキー規則でスペイサイドが独立産地として正式認定された。

スペイ川岸に建つ16世紀のバリンダロッホ城(Ballindalloch Castle)はマクファーソン=グラント家が数百年にわたり居住し続ける生きた史跡だ。全長116kmのスペイサイド・ウェイはモーレイ湾の港町バッキーからケアンゴームズの奥地まで続くロング・ディスタンス・ウォーキングルートで、沿道には蒸留所見学スポットが点在する。英国唯一の現役樽職人工房スペイサイド・クーパレッジや7蒸留所を巡るモルトウイスキー・トレイル(全長99km)は、毎年5月に開催される「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキー・フェスティバル」と合わせて54カ国以上のウイスキーファンを呼び込む。

現在スコットランド全体のシングルモルトの約50〜60%がスペイサイド産であり、世界で最も売れる2大シングルモルト——グレンリベットとグレンフィディック——がともにこの地に根を持つことが、スペイサイドを「ウイスキーの聖地」たらしめている。

受賞歴

コンテストグレード銘柄
2025 SFWSC ダブルゴールド ベンリアック ジ・オリジナル12
2024 SFWSC ダブルゴールド ベンリアック ジ・オリジナル12