バルブレア蒸留所は1790年、ロス&クロマティのエダートン(Edderton)村においてジョン・ロス(John Ross)によって創業された。非公式の記録では1749年にまで蒸留の記録が遡るとされ、スコットランドで最も歴史の長い蒸留所の一つに数えられる。創業者ジョン・ロスの一族は約100年にわたって蒸留所を経営し、その後1894年にアレクサンダー・コーワン(Alexander Cowan)が経営を引き継いだ。1895年には著名な蒸留所設計士チャールズ・C・ドイグ(Charles C. Doig)がエダートン鉄道駅に近い現在地に蒸留所を移転・再建し、出荷の利便性を大幅に向上させた。
1948年にはロバート・カミング(Robert Cumming)が所有権を取得して設備を拡充し生産量を増加させた後、1970年の引退を機にハイラム・ウォーカー(Hiram Walker)に売却。その後ロシュ・ハイランダーズ(Roshes Highlanders)を経て、1996年にインヴァー・ハウス・ディスティラーズ(Inver House Distillers)がバルブレアを取得した。インヴァー・ハウスの下、2007年からは年ごとに異なるヴィンテージボトルをリリースするという革新的な販売手法が導入され、熟成の違いによる多彩な個性が愛好家の間で高い評価を受けた。2019年からは年次ヴィンテージ方式を廃止し、12年・15年・18年の熟成年数表記ラインナップに一新している。
バルブレアの仕込み水はアルタス川(Allt Dearg)の清水で、長時間の発酵(約62時間)とゆっくりとした蒸留を経ることで穏やかでフルーティな原酒が得られる。主な熟成にはバーボン樽を使用し、仕上げにオロロソシェリー樽を組み合わせる手法が多い。2007年のIWSCでは1989年ヴィンテージがベスト・イン・クラスのゴールドメダルを受賞し、2016年のワールド・ウイスキー・アワーズ(WWA)では1983年ヴィンテージがゴールドメダルを獲得した。2022年のIWSCでは12年・15年・18年・25年がゴールド以上の上位賞を受賞し、2023・2024年のサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでは12年がダブルゴールドを連続受賞するなど、その品質は国際的に高く評価されている。