オーヘントッシャン蒸留所(Auchentoshan Distillery)|スコットランド・ローランドのスコッチウイスキー蒸留所

オーヘントッシャン蒸留所は、スコットランド・ローランドのクライドバンクに位置し、スコットランドで唯一全量3回蒸留を採用する蒸留所だ。1823年に正式免許を取得し、現在はBeam Suntory(Suntory Global Spirits)が所有する。アイリッシュウイスキーに由来する3回蒸留によって極めてクリーンで軽快なスピリットを生産し、「ブレックファスト・ウイスキー」の異名を持つローランド・スコッチの代表格である。

ロッホ・カトリンからの軟水と無泥炭大麦が生む草花・バニラ系の香りと穏やかな口当たりは、スコッチ初心者から愛飲家まで幅広い層に支持される。グラスゴーからほど近いキルパトリック丘陵の麓に立地し、ビジターセンターも充実した観光スポットとなっている。

特徴

スコットランド唯一の全量3回蒸留蒸留所。極めてクリーンで軽快なスタイル。「ブレックファスト・ウイスキー」の異名。ロッホ・カトリンの軟水を使用。サントリー傘下でジャパニーズウイスキーとの文化的つながりも持つ。

歴史

オーヘントッシャン蒸留所は1817年頃にジョン・ブロックによってダンドッカー蒸留所として建設され、1823年に正式な免許を取得した。「オーヘントッシャン」はゲール語で「野の隅」を意味し、キルパトリック丘陵のふもとに位置する。1834年にブロックが破産後、農場主アレクサンダー・フィルシーに売却された。


第二次世界大戦中の1941年3月、クライドバンク電撃作戦(ブリッツ)でドイツ軍の爆撃を受けウェアハウス3棟が破壊された。戦後復興を経て1969年にモリスン・バウモア・ディスティラーズが購入し、1984年にサントリーが同社を買収。2014年のBeam Inc.とSuntory合併によりBeam Suntory(現Suntory Global Spirits)の傘下となった。


スコットランドで唯一、全量3回蒸留を実施する蒸留所として知られ、アイリッシュウイスキーに由来するこの製法により極めて軽快でクリーンなスピリットを生産する。ローランドスタイルの代表格として国際的に評価され、ビジターセンターは2004年に刷新された。

基本情報

正式名称 Auchentoshan Distillery
創業年 1823年
操業状況 稼働中
所有会社 Suntory Global Spirits(Beam Suntory)
見学 可能
公式サイト https://www.auchentoshan.com/
Wikipedia Wikipedia
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蒸留所情報

蒸留器数 3基(ウォッシュスチル1基・インターミディエイトスチル1基・スピリットスチル1基)
蒸留方式 ポットスチル(3回蒸留)※スコットランド唯一の全量3回蒸留
モルト使用 無泥炭モルテッドバーリー
水源 ロッホ・カトリン(Loch Katrine)
熟成倉庫 ダンネージ式・ラック式(混合)
年間生産量 年間約250万L
使用樽 バーボン樽(主体)、シェリー樽
主力ジャンル ウイスキースコッチウイスキー
主要ブランド オーヘントッシャン
Auchentoshan American Oak
Auchentoshan 12
Auchentoshan Three Wood
Auchentoshan 21

代表銘柄

所在地

イギリス
都道府県州 ウェスト・ダンバートンシャー
住所 Great Western Road, Dalmuir, Clydebank, G81 4SJ, Scotland, UK
郵便番号 G81 4SJ

この地域について

クライドバンクはスコットランドの中心都市グラスゴーの北西に隣接し、クライド川の南岸とキルパトリック丘陵の麓に挟まれた工業都市だ。19世紀後半から20世紀前半にかけて英国最大の造船業の中心地として栄え、豪華客船クイーン・メアリー号(1936年進水)とクイーン・エリザベス号(1938年進水)がこの地のジョン・ブラウン&カンパニー造船所で建造された。最盛期には数万人の労働者が造船所・織物工場・シンガー社ミシン工場に従事し、クライドサイドは「世界の造船所」として世界中に名を轟かせた。

第二次世界大戦中の1941年3月13〜14日、ドイツ空軍によるクライドバンク電撃作戦(ブリッツ)は2日間で528名の市民が死亡、約4万7千人が家を失うスコットランド史上最大の空爆被害をもたらした。オーヘントッシャン蒸留所のウェアハウスも数棟が被害を受けた。戦後の復興を経て造船業は一時回復したものの1970年代以降に急速に衰退し、クライドバンクの産業構造は大きく変貌した。南のローランドは低丘陵地帯が穏やかに広がり、肥沃な農地と豊富な水資源がウイスキー造りの素地を整える。

スコットランドで唯一、全量3回蒸留を採用するオーヘントッシャン蒸留所は1823年にこの地に正式免許を取得し、アイリッシュウイスキーに由来する伝統製法でアルコール度数80%超の極めてクリーンなスピリットを生産する。ロッホ・カトリンからの軟水と無泥炭大麦が生む軽快かつエレガントなスタイルは「ブレックファスト・ウイスキー」の異名で親しまれ、ローランド・スコッチの代表格として世界市場で独自の地位を占めている。