安積蒸溜所(Asaka Distillery)|日本・福島のジャパニーズウイスキー蒸留所

安積蒸溜所の母体である笹の川酒造株式会社は1765年(明和2年)の創業。戦後まもない1946年にウイスキー製造免許を取得し、以来70年以上にわたって福島県郡山市でウイスキーを造り続けてきた東北有数の歴史を持つ蒸溜所である。2016年11月、長年使用してきた清酒蔵を蒸留棟に改装し、三宅製作所製のポットスチル2基を導入して本格的なシングルモルトウイスキーの生産体制を確立した。

仕込みはワンバッチ400kgという小規模ながら、郡山盆地の気温差を活かした熟成と、2020年から導入した木桶発酵槽が独自の風味形成を担っている。阿武隈山系に源を発する清冽な水が仕込水として用いられ、盆地特有の四季の寒暖差が年輪を重ねるような深みのある原酒を育てる。清酒や焼酎も手掛ける複合酒造ならではの発酵文化が、ウイスキー造りにも着実に生きている。

2019年12月に初のシングルモルト「安積 ザ・ファースト」をリリース。その後、ワールド・ウイスキー・アワード2022ではワールドベストを含む3冠を達成し、東北・福島から世界最高賞が誕生したことで国内外に衝撃を与えた。以来、安積の名は国際的なウイスキーシーンで急速に知れ渡り、限定ボトルは即完売が続くなど、今や日本を代表するクラフト蒸溜所のひとつとして確固たる評価を獲得している。

特徴

東北最古のウイスキー蒸溜所のひとつ。2016年にスコットランド製スチル導入で本格シングルモルト製造開始。郡山盆地の寒暖差大きい内陸性気候が特徴。

歴史

笹の川酒造は1765年創業の清酒蔵。1960年代にウイスキー製造を開始し、「ヤマザクラ」ブランドで長年親しまれてきた。2016年にスコットランドから中古ポットスチルを導入し、シングルモルトウイスキーの本格製造を再開。2020年代に入りISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)などで入賞が相次ぎ、東北を代表するウイスキー蒸溜所として国際的な評価が高まっている。

基本情報

正式名称 Asaka Distillery
創業年 1960年
操業状況 稼働中
所有会社 笹の川酒造株式会社
見学 要予約
公式サイト https://www.sasanokawa.co.jp/
Wikipedia Wikipedia
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蒸留所情報

蒸留器数 2基(ウォッシュスチル1基・スピリットスチル1基)
蒸留方式 ポットスチル(バッチ式)
モルト使用 モルテッドバーリー(ノンピート〜ライトピート)
水源 阿武隈山系の軟水
熟成倉庫 ラック式
年間生産量 年間約2.5万L
使用樽 バーボン樽、シェリー樽など
主力ジャンル ウイスキージャパニーズウイスキー
主要ブランド 安積
安積
ヤマザクラ

代表銘柄

所在地

日本
都道府県州 福島県
住所 〒963-0108 福島県郡山市笹川1丁目178
郵便番号 963-0113

この地域について

福島県郡山市は、福島県中部の郡山盆地に広がる人口約33万人の都市で、東北地方では仙台市に次ぐ経済規模を誇る。猪苗代湖からの安積疏水(1882年完成)が開拓した農業地帯を基盤に発展し、近現代では機械・食品・電子部品などの製造業が集積する工業都市でもある。

郡山は「安積」の名で歴史書にも登場する古い地名を持ち、奈良時代には陸奥国の要衝として機能した。明治時代の安積疏水開削はこの地方の農業を大きく発展させ、「明治三大疏水」のひとつとして土木史にも名を刻む。磐梯山や猪苗代湖、あぶくま洞など豊かな自然も近郊に広がる。

阿武隈山系を水源とする清冽な軟水と、盆地特有の夏の暑さと冬の厳しい寒さによる大きな寒暖差は、ウイスキー熟成に独特の条件をもたらす。厳しい寒暖差が樽材の収縮・膨張を繰り返し、ゆっくりと深みのある熟成を促す。1960年代から続く笹の川酒造のウイスキー製造は、この福島の自然とともに歩んできた。