アラン蒸留所(Arran Distillery)は、スコットランド西岸に浮かぶアラン島(Isle of Arran)北部のロッホランザ(Lochranza)に1995年に設立された独立系蒸留所である。150年以上にわたり島に蒸留所が存在しなかった時代を経て、「アイランドに帰ってきた蒸留所」として地元に熱烈に歓迎された。Isle of Arran Distillers Ltdが独立経営し、透明感のあるフルーティーなキャラクターで世界的評価を得ている。
アラン蒸留所(Arran Distillery)|スコットランド・アイランズのスコッチウイスキー蒸留所
特徴
歴史
アラン蒸留所は1994年、シーバス・リーガルの元役員Harold Currieにより設立計画が始動し、私的投資家と公債の売却で資金を調達して1995年に蒸留を開始した。アラン島では1837年以来150年以上にわたり合法的な蒸留所が存在しなかったため、「アイランドへの帰還」として地元に熱狂的に歓迎された。1997年にはエリザベス女王がビジターセンターを公式開所し、翌1998年には俳優ユアン・マクレガーが100年以上ぶりにアラン島で生産された最初のスコッチウイスキーの樽を祝った。
独立系として独自路線を貫き、10年・18年のコア表現に加えてピーテッドモルトやシェリー樽熟成など多彩なラインナップを展開してきた。2019年には島南部にLagg蒸留所(ヘビリーピーテッド専門)を新設し、ノンピーテッドのアランと対比的な二蒸留所体制を確立した。アラン10年はサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2018でダブルゴールドメダルを受賞し、2012年にもゴールドメダルを獲得。2024年にはOsaka Spirits & Wine Awards(OSWA)で3年連続「ベストバリューウイスキー」のトリフェクタを達成した。
2025年にはアラン島のロッホランザ蒸留所がスコティッシュ・ウイスキー・アワーズにて「スコットランド年間最優秀蒸留所(Distillery of the Year 2025)」に選出され、独立系蒸留所としての卓越した品質とイノベーションが改めて認められた。Whisky Advocateによるアラン18年の93点をはじめ、各コンテストでの高い評価が世界中の愛好家からの信頼を裏付けている。
基本情報
| 正式名称 | Arran Distillery(Lochranza Distillery) |
|---|---|
| 創業年 | 1995年 |
| 操業状況 | 稼働中 |
| 所有会社 | Isle of Arran Distillers Ltd |
| 見学 | 可能 |
| 公式サイト | https://www.arranwhisky.com/ |
| Wikipedia | Wikipedia |
蒸留所情報
| 蒸留器数 | ウォッシュスチル1基・スピリットスチル1基 |
|---|---|
| 蒸留方式 | ポットスチル(銅製) |
| モルト使用 | ノンピーテッド(一部ピーテッドあり) |
| 水源 | Easan Biorach(ロッホランザ近郊の湧水) |
| 熟成倉庫 | ダンネージ式・ラック式 |
| 年間生産量 | 約75万リットル/年 |
| 使用樽 | エックス・バーボン樽(アメリカンオーク)、シェリー樽(スペイン産オーク) |
| 主力ジャンル | ウイスキー、スコッチウイスキー |
| 主要ブランド | アラン |
代表銘柄
所在地
| 国 | イギリス |
|---|---|
| 都道府県州 | Isle of Arran, North Ayrshire |
| 住所 | Arran Distillery, Lochranza, Isle of Arran KA27 8HJ, UK |
| 郵便番号 | KA27 8HJ |
この地域について
スコットランド本土西岸に点在するアイランズ(Islands)地方は、スカイ島・マル島・ジュラ島・オークニー諸島・シェトランド諸島など多様な島々から構成される広域ウイスキー産地である。それぞれの島が独自の地理・気候・文化を持ち、一括りにはできない個性豊かな蒸留所群を抱えている。
北海とアイリッシュ海に挟まれた島々は、大西洋性気候の影響を強く受け、年間を通じて強風と潮風にさらされる。この過酷な海洋環境が、アイランズウイスキーに特有の塩気・磯の風味・荒々しさをもたらすと言われている。島ごとに泥炭(ピート)の質や量も異なり、ヘビリーピーテッドからノンピーテッドまで幅広いスタイルが生まれる。
アイランズは「スコッチウイスキー産地規則」において正式なリージョンとして認められていないが、業界では慣習的にハイランドの一部として扱われることが多い。しかしその個性は際立っており、愛好家からは独立したキャラクターを持つ産地として高く評価されている。スカイ島のタリスカーやトラバイグ、アラン島のアラン、オークニーのハイランドパークとスカパなど、世界的に知名度の高い蒸留所が集積し、アイランズウイスキーの魅力を世界に発信し続けている。