厚岸蒸溜所(Akkeshi Distillery)|日本・北海道のジャパニーズウイスキー蒸留所

厚岸蒸溜所は、食品原材料の輸入商社を営む堅展実業株式会社の樋田恵一氏が「アイラ島に匹敵するウイスキーを北海道で造る」という構想のもと、2010年から計画を始動させ、2015年に北海道厚岸郡厚岸町で着工、2016年10月より蒸留を開始した。アイラ島の名蒸溜所ラガヴーリンを手本としてスコットランドのフォーサイス社に設備を発注し、厚岸の澄んだ空気と牡蠣の産地として名高い海洋性気候の中に本格的なピーテッドモルトウイスキーの製造拠点を築き上げた。

原料には道産・厚岸産二条大麦と北海道産ピートを積極的に活用し、仕込水には尾幌川上流のホマカイ川の清冽な水を使用。蒸留棟408平米の小規模設備ながら年間約10万リットルの生産規模を誇る。二十四節気を冠したボトルを季節ごとにリリースする「二十四節気シリーズ」は、日本の暦文化とウイスキーを結びつけた独自のコンセプトとして世界中のコレクターに愛されている。

2022年には「厚岸ブレンデッドウイスキー処暑」がワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2022の「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー」部門で世界最高賞を受賞。開蒸わずか6年での世界一という快挙は、日本の新興クラフト蒸溜所の実力を世界に証明した出来事として大きな話題を呼んだ。その後も複数の国際賞を受賞し続け、ジャパニーズウイスキーの次世代を担う蒸溜所として高い評価が定着している。

特徴

スコットランドのアイラ島に類似した霧深い海洋性気候。道産ピートを使用したヘビーピーテッドウイスキー。季節を表現する「二十四節気シリーズ」が人気。

歴史

2016年設立。創業者の津田兄弟がアイラウイスキーに魅了され、アイラ島に似た環境を北海道に求めて厚岸を選定した。2018年に初めてのニューメイクスピリッツをリリース、2020年より本格的なシングルモルトウイスキーのリリースを開始。「二十四節気シリーズ」はリリースのたびに話題となり、ISCやWWAなど国際的なコンテストで受賞を重ねている。

基本情報

正式名称 Akkeshi Distillery
創業年 2016年
操業状況 稼働中
所有会社 堅展実業株式会社
見学 要予約
公式サイト https://akkeshi-distillery.com/
Wikipedia Wikipedia
SNS Instagram

蒸留所情報

蒸留器数 2基(ウォッシュスチル1基・スピリットスチル1基)
蒸留方式 ポットスチル(バッチ式)
モルト使用 モルテッドバーリー(ヘビーピーテッドモルト使用、道産ピート使用)
水源 湿原の清水・厚岸湾沿岸
熟成倉庫 ダンネージ式
年間生産量 年間約10万L
使用樽 バーボン樽、シェリー樽、ミズナラ樽など
主力ジャンル ウイスキージャパニーズウイスキー
主要ブランド 厚岸
厚岸
二十四節気シリーズ

代表銘柄

所在地

日本
都道府県州 北海道
住所 〒088-1124 北海道厚岸郡厚岸町宮園4丁目109−2
郵便番号 088-1119

この地域について

北海道厚岸町は、道東の太平洋岸に位置する人口約1万人の町。霧多布湿原や厚岸湖・別寒辺牛湿原などの豊かな湿原地帯を持ち、ラムサール条約登録湿地でもある自然の宝庫だ。カキやアサリ、毛ガニなどの海産物の産地として名高く、特に「厚岸産カキ」は年間を通じて出荷される日本有数のカキの名産地として知られている。

厚岸は夏でも霧と冷涼な気候が続き、オホーツク海・太平洋双方の影響を受ける独特の海洋性気候を持つ。アイヌ文化の痕跡が地名に多く残り、「厚岸」もアイヌ語「アッケシ(カキのある場所)」に由来する。明治以降は酪農と漁業が主産業となり、広大な牧草地と豊かな海洋資源が地域経済を支えている。

霧深く湿潤な海洋性気候と、足元の湿原に眠る道産ピートは、スコットランドのアイラ島の環境に近似するとされる。この環境がウイスキーにスモーキーで潮っぽい個性を与えることを見込んで、2016年に堅展実業が厚岸蒸溜所を設立した。道産素材にこだわった蒸溜所は、北海道固有の自然をそのままウイスキーに昇華させようとしている。