ウォーターフォード蒸留所は2015年、元ブルックラディ蒸留所CEO(最高経営責任者)のマーク・レニエによってアイルランド南東部のウォーターフォード市に設立された。レニエはブルックラディで「テロワール」という農業的概念をウイスキーに応用した先駆者であり、ウォーターフォードでもその哲学を極限まで追求している。ブルワリーを改修した蒸留所で、アイルランドの農場ごとに厳格に分けた大麦を蒸留し、「シングルファーム・オリジン」という全く新しいウイスキーカテゴリーを確立した。
「シーズタウン」はウォーターフォード市近郊の農場名で、そこで育てられた大麦のみを使用した単一農場産ウイスキーだ。マーク・レニエの哲学では「ウイスキーの風味の100%は大麦に由来する」と主張し、農場・土壌・気候・大麦品種という変数をすべて記録・管理することで、他のどのウイスキーとも異なる「大麦の個性」を表現することを目指している。各農場の麦は独立して蒸留・熟成され、バッチ番号(1.2は第2回目のリリース)で追跡可能だ。
「1.2」というバッチ番号はシーズタウン農場のウイスキー第2バッチ目を意味しており、継続的なリリースによって収穫年・気候条件ごとの違いを比較できる設計になっている。ボトルは農場名・農家名・大麦品種・収穫年まで詳細に記載したラベルで透明性を最大化しており、ワインのシャトー名・ヴィンテージに倣ったアプローチだ。
ウォーターフォードはリリース後すぐに業界から注目を集め、マーク・レニエは2021年アイコンズ・オブ・ウイスキーのアイルランド部門で「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」と「ブランド・イノベーター・オブ・ザ・イヤー」の2冠を達成した。また同年サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションでベスト・イン・クラスを含む5つのメダルを獲得し、フック・ヘッドが「ベスト・アイリッシュ・シングルモルト」と「ベスト・アイリッシュ・ウイスキー」をダブル受賞したことで世界的な評価が確立した。
ウォーターフォードのシングルファーム・オリジンシリーズの中で、シーズタウンはブランドの地元ウォーターフォード近郊の農場からリリースされる表現として特別な位置づけを持つ。テロワール哲学の「教科書的表現」として新規ファンへの入門にも適している。
サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2021でのベスト・アイリッシュ・ウイスキー受賞(フック・ヘッド)はシリーズ全体の評価を高め、シーズタウンを含む各表現も独自のコンペで受賞歴を持つ。Global Drinks Intel ESG Awards 2024のBiodiversity Achievement賞もウォーターフォードが受賞しており、農業環境への貢献でも国際的に認められている。
テイスティングノート
香り
シリアルの香りにバニラ、オレンジピール、はちみつ、ほのかなスパイスとフローラルのニュアンスが重なる。農場産大麦特有の清潔感のある穀物の個性が際立っており、純粋なモルトの風味が感じられる。
味わい
ブラックペッパーとクローブのスパイシーさが最初に来て、フレッシュな洋梨とシトラスのフルーティーさが続く。樽由来のオークとバタースコッチのコクが奥に控え、各農場の大麦キャラクターが個性を発揮している。
余韻
スパイスと穀物感の余韻がゆっくりと続き、柑橘の爽やかさが最後まで残る。ドライでクリーンな余韻はテロワール系ウイスキーらしい純粋な穀物の個性を反映している。
酒
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