産土 山田錦 六農醸は、花の香酒造の産土山田錦シリーズにおいて、農醸十二階位のうち六要素(①菊池川流域産米・②無農薬・③無肥料・④生酛・⑤木桶醸造・⑥酵母無添加)を満たした上位グレードだ。七農醸の「しおり」一歩手前の六農醸は、木桶×生酛×酵母無添加という三重の伝統技法が重なることで、和水町の土地と蔵の個性が最も濃密に表現される一本となっている。
六農醸が積み重ねる製法の意味
産土山田錦は二農醸(菊池川流域+生酛)から始まり、四農醸で無農薬・無肥料が加わり、五農醸で木桶醸造が加わり、六農醸でついに酵母無添加の境地に達する。各グレードが段階的に「自然」へと近づいていく設計だ。
六農醸における酵母無添加は、蔵に自然に住みつく自然酵母のみで発酵させることを意味する。添加酵母の一切ない環境では、木桶に棲みつく微生物と自然酵母が複雑に相互作用し、培養酵母では到達できない多層的な風味が生まれる。菊池川流域の自然農法で育てた山田錦の旨み成分が、蔵の微生物環境を通じて最大限に引き出される仕組みだ。
テイスティングノート
香り:青りんごやマスカットを思わせる清涼な果実の香りが控えめに立ち上る。その奥にバニラのような柔らかな甘い香りが重なり、木桶由来のほのかな杉の清涼感がアクセントとして効いている。酵母無添加の自然発酵由来の乳酸的なニュアンスが、全体を清潔でありながら複雑な香りにまとめる。溶存ガスによるフレッシュな揮発感が、注いだ直後に特に際立つ。
味わい:溶存ガスのフレッシュ感が口の中でほのかに弾けながら、粘性のある凝縮感のある旨みが広がる。七農醸と比較するとより前面に出た果実的なニュアンスがあり、木桶・生酛・酵母無添加が三位一体となって生む複雑な旨みの層が心地よい。中口で、甘みと酸のバランスが取れており、長時間食事に寄り添える懐の深さがある。
余韻:余韻はやや長め。木桶由来の清涼なウッディな余韻が続き、自然酵母由来の柔らかな酸が後口をきれいに整える。フィニッシュに向けて旨みが凝縮されていく感覚があり、唯一無二の産土の世界観で締めくくられる。
七農醸との違い
六農醸と七農醸の違いは「しおり(古式醸造)」の有無だ。七農醸のほうがより複雑で微発泡感が強く、白い花やレモン・ラムネのアロマがより前面に出る。六農醸は七農醸に比べてよりクリーンで、果実的なニュアンスとウッディな複雑さが調和したバランス型といえる。産土山田錦の全グレードを飲み比べると、その段階的な変化が面白い。
飲み方・ペアリング
雪冷え(5℃前後)から涼冷え(15℃前後)で楽しむのが基本。白身魚や貝類の焼き物、蒸し料理など、素材の旨みを大切にした料理と相性が良い。発酵食品(チーズ・味噌漬けなど)とも自然酵母由来の複雑さが呼応する。数量限定品のため、入手できたら早めに楽しみたい。
酒
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