産土 エフェルヴェセント(Ubusuna Effervescent)は、花の香酒造が「ある菌との奇跡的な出会い」から生み出した、産土シリーズの中でも特別な立ち位置を持つ泡のある日本酒だ。伝統的な酒造りでは本来「適さない」とされてきた菌の可能性を発見し、それを酒造りに活かすことで、従来の日本酒にはない柑橘の旨みと甘み、ナッティな香り、そして生き生きとした泡が生まれた。
「ある菌との出会い」という誕生秘話
花の香酒造の産土シリーズは自然農法・生酛・木桶醸造という伝統への回帰を軸としているが、エフェルヴェセントはその中でひと味異なる誕生背景を持つ。「伝統的な価値観では本来酒造りには適さないとされてきた、ある菌が持つ奇跡的な可能性」に着目した蔵が、その菌と向き合い酒造りを試みた結果として生まれた一本だ。
農醸の分類は「菊池川流域・共生進化」とされており、従来の農醸十二階位の枠組みとは異なる独自の位置づけを持つ。これは、人間と微生物が「共生・進化」しながら新しい可能性を切り拓くという花の香酒造の姿勢そのものを体現したシリーズだ。醸造年度は2018年(平成30年7月〜令和1年6月)で、年度を冠した限定品として扱われている。
エフェルヴェセントとは
「エフェルヴェセント(Effervescent)」は英語で「発泡性の」「泡立つ」を意味する。シャンパンやスパークリングワインのような力強い発泡ではなく、澱引きの過程で自然に生まれる繊細な泡が特徴だ。この泡が口中で弾けることで、柑橘的な旨みと甘みがより鮮明に感じられ、日本酒としての新しい飲み体験をもたらす。
原料米は産土シリーズでもおなじみの菊池川流域産山田錦。アルコール度数は13度で、産土シリーズ共通の「やや低めのアルコールで旨みを引き立てる」方向性を踏まえている。
テイスティングノート
香り:グラスに注いだ瞬間から、柑橘を思わせる爽やかな香りが広がる。ナッティな香ばしさが重なり、従来の日本酒吟醸香とも、山廃や生酛のコクとも異なる独自のアロマが立ち上る。泡の揮発作用により、香りのフレッシュ感が際立つ。
味わい:口に含んだ瞬間、生き生きとした泡が舌先を心地よく刺激する。柑橘を思わせる旨みと甘みが同時に広がり、ナッティな香ばしさが後から顔を出す。従来の日本酒の旨みとは異なるベクトルの味わいで、発泡性によるフレッシュな飲み口が心地よい。酸味はほどよく、甘みと旨みとのバランスが絶妙だ。
余韻:泡の爽やかな余韻とともに、柑橘的な旨みがゆっくりと続く。後口はきれいでドライ寄りにまとまり、次の料理を引き立てるように消えていく。
食との相性
花の香酒造が「魚介類との相性は抜群」と太鼓判を押す通り、白身魚の刺身・カルパッチョ・牡蠣・ホタテなど生の魚介との相性が際立つ。柑橘的な酸と旨みが海の幸の鮮度感を引き立て、泡のフレッシュさが口内を爽やかにリセットする。食前酒としてシャンパン感覚で楽しむのもよく、日本酒が苦手な人への入門酒としても秀逸だ。
酒
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