タイタニック・ディスティラーズのポットスチル5年は、ベルファストのトンプソン・ドックに設立された蒸留所が誇る最初のエイジ・ステートメント表現である。2023年の蒸留所開設以来、自家蒸留スピリットの熟成を待ちながら暫定リリースを重ねてきたタイタニック・ディスティラーズが、ついて蒸留所の実力を示すために送り出した渾身の一本だ。
このポットスチルウイスキーはアイリッシュの伝統製法に則り、モルテッド大麦とアンモルテッド大麦の混合マッシュビルから造られ、エックス・バーボン樽で5年間熟成。チルフィルタリングを行わず、ナチュラルカラーのまま46%で瓶詰めされた、製法に対する蒸留所の誠実さを示す一本だ。
ポットスチル(Pot Still)とはアイルランド固有のスタイルで、アンモルテッドバーレーを使用することで生まれる独特のスパイシーさと重厚さが特徴。タイタニックがこの伝統スタイルを選んだのは、ベルファストのウイスキー遺産を復活させ、アイルランドのクラフトが持つ固有の表現を世界に示すためだと語られている。ラベルには造船所の製図を彷彿とさせる精緻なデザインが施されている。
タイタニック号が1909年から1912年にかけて建造されたこのドックで生まれるウイスキーは、それ自体が歴史の重さを纏っている。ベルファストはかつてアイルランド最大のウイスキー産地であったが、禁酒法によって産業が崩壊した後、90年以上にわたって合法的な蒸留は行われなかった。5年ポットスチルはその沈黙を破る最初の熟成ウイスキーとして、地元に深い感動をもたらした。
5年ポットスチルは自家蒸留ウイスキーとして、プレミアム・ブレンドとは別の価値を持つシグナチャー商品として位置づけられている。ポットスチルスタイル特有の重みとスパイシーさが、バーボン樽熟成の甘みと複雑に絡み合う点が、プレミアムとは明確に異なる飲み応えを提供している。
ウイスキー専門メディアからは「トースティーなオーク、バニラ、蜂蜜の甘みにキャンディ・ジンジャーのニュアンスが加わる」「クリーミーな口当たりとナッティなコア」と評されており、北アイルランドのクラフト蒸留所が生み出した本格的なポットスチルとして注目されている。タイタニックの名を冠したウイスキーとして観光業との相乗効果も大きく、ベルファスト観光の必須土産として定着しつつある。
テイスティングノート
香り
トースティーなオーク、バニラ、蜂蜜の甘い基調に、アンモルテッドバーレー由来のスパイシーなグレーンノートが重なる。キャンディ・ジンジャーを思わせる穏やかな辛味もあり、複雑な第一印象を与える。
味わい
クリーミーでなめらかな口当たりから始まり、ナッティなコアがじわりと広がる。ポットスチル特有のスパイシーさが中盤で主張し、バーボン樽熟成のキャラメルと巧みに調和する。
余韻
ラスティングなスパイスの余韻が続き、ジンジャーが再び顔を出す長い後味。クリーミーさとオークの乾いた渋みが絶妙なバランスで最後まで持続する。
酒
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