ティペラリー・ブティック蒸留所は、2016年にジェニファー・ニカーソン、スチュアート・ニカーソン、リアム・エーハーンの3人によってアイルランド南西部のゴールデン・ヴェール地方に設立された。蒸留所の建設が進む間、創業期のボトリングはアイルランド国内の提携蒸留所から調達したスピリットを使用してリリースされた。
マルトマスターのスチュアート・ニカーソンは、スコッチウイスキー業界での長年の経験を持つ人物で、ティペラリーのウイスキーに独自の哲学を持ち込んだ。ウォーターシェッド(流域)という名称は、ティペラリーが位置するスーア川とシュア川の分水嶺にちなんでいる。この土地の水資源と自然環境がウイスキーのアイデンティティを形成しているとニカーソンは語っている。
ウォーターシェッドは6本のファーストフィル・バーボン樽から厳選され、47%で瓶詰めされたシングルモルト。バッチごとにニカーソンが直接監修を行い、一貫した品質を維持する少量生産のボトルだ。ラベルには流域を象徴する水の流れが意匠として使われており、ティペラリーの大地と水の結びつきを表現している。
ティペラリー・ブティック蒸留所の自家製スピリットが本格的に熟成を迎える前の重要なブリッジリリースとして生まれたウォーターシェッドは、設立当初からウイスキー愛好家の注目を集めた。2017年にリリースされるや否や、ボトル数が限られていることもあり迅速に完売を重ね、蒸留所の評判を高める礎となった。
ティペラリーのラインナップにおいて、ウォーターシェッドはエントリーポイントとして位置づけられる。上位ラインの「ノックミーダウンズ10年」へ橋渡しをする役割を担いながら、バーボン樽由来のフレッシュなフルーツ感とバランスのとれた穏やかな口当たりで、アイリッシュウイスキー入門者にも親しみやすい一本だ。
サンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティションではダブルゴールドメダルを獲得し、インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)では銀賞を受賞するなど、リリース直後から国際的な評価を確立した。ウイスキー専門誌のレビューでは「シンプルながら均整のとれたシングルモルト」「フルーティーなタッチとスパイスが心地よい」と評され、アイリッシュ・シングルモルトの良質な一例として挙げられている。
テイスティングノート
香り
バニラ、青リンゴ、レモンピールなどの爽やかなフルーツの香りが広がる。奥からはちみつとソフトな麦芽の甘さが続き、軽やかで清潔感のある印象を与える。
味わい
口当たりは穏やかでバランスよく、柑橘系の果実感とかすかなスパイスが交互に現れる。バーボン樽由来のバニラとキャラメルがベースにあり、全体的にアクセスしやすいまろやかさがある。
余韻
余韻はミディアムの長さで、麦芽のほのかな甘みとオークのスパイスが静かに続く。爽やかな口当たりの印象をそのまま引き継いで、すっきりと締めくくる。
酒
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