ノックミーダウンズ(Knockmealdowns)とは、ティペラリー州南部からウォーターフォード州北部にかけて広がる山脈の名称である。ティペラリー・ブティック蒸留所がその名を冠したこの10年熟成シングルモルトは、地元の大地と蒸留所の矜持を体現するフラッグシップ的存在として2016年に誕生した。
マルトマスター・スチュアート・ニカーソンは、「本物のシングルモルトアイリッシュウイスキーのあるべき姿」を追求し、ファーストフィル・バーボン樽のみを選び抜いて6樽から丁寧にヴァッティングを行った。バリンドニー農場のティペラリーの水で47%に調整し、一切の妥協を排した少量生産を貫いている。
「ノックミーダウンズ」という名称は、この地方の人々が誇りを持って語る山々の風景と歴史に対するオマージュだ。ラベルデザインにもその山岳景観が反映されており、地域のアイデンティティをウイスキーとして瓶に封じ込めようとする試みが随所に見られる。
ティペラリー・ブティック蒸留所が自家蒸留のウイスキーをリリースするまでのつなぎ商品でありながら、10年という熟成期間が生み出す複雑さはそれ以上の価値を持ち、発売当初から批評家と愛好家の両方から高い評価を受けた。アイリッシュ・シングルモルトの可能性を示す一本として、専門誌に繰り返し取り上げられてきた経緯がある。
ティペラリーのラインナップでは、ウォーターシェッドの上位に位置するプレミアム表現として明確に差別化されている。10年の熟成が加わることでバニラやハニーの甘みに加えて木材由来のスパイスと複雑さが積み重なり、より深みのある飲み応えを提供する。
The Whiskey Washやボトルレイダーズなど主要レビューサイトで好評を博し、「シンプルだが確固たる骨格を持つシングルモルト」「バーボン樽熟成の王道的な旨味を楽しめる一本」と評されている。ティペラリーの名を海外市場に広めた立役者として、アイリッシュウイスキー復興期の重要な一本に数えられる。
テイスティングノート
香り
青リンゴ、柑橘、わずかなバナナの爽やかなフルーツが先頭に立ち、続いてバニラ、はちみつ、淡いモルトの穏やかな甘みが続く。全体として明るくクリーンなアロマ。
味わい
軽いペッパーコーンのスパイスと柑橘のジューシーさが調和し、口の中でグラッシーなモルト感が広がる。タンジェリンやサツマ・オレンジを思わせる果実の風味が特徴的で、ソフトなコーンスターチのような滑らかさもある。
余韻
ミディアムの余韻で、モルト、はちみつ、グラハムクラッカー、バニラとトフィーがゆっくりとフェードアウトしていく。クリーンで後引く甘みが心地よい。
酒
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