手取川 山廃仕込 純米酒は、石川県白山市の吉田酒造店が山廃仕込みで醸す純米酒である。山廃仕込みは明治時代に開発された伝統的な醸造法で、天然の乳酸菌を活用して酒母を育てる手法だ。現代の速醸法と比べて手間と時間がかかるが、独特の複雑な旨みと酸味を生む。吉田酒造店は手取川の超軟水を活かした繊細な酒質でも知られるが、山廃仕込みではその水の特性を活かしつつ力強い味わいを追求している。
山廃仕込みは自然の乳酸菌がもたらす乳酸により酒母を守り育てるため、野趣あふれる複雑な味わいが生まれる。手取川の山廃純米は五百万石を使用し、じっくりと時間をかけて発酵させる。深い旨みとコクがありながらも、白山の軟水がもたらすなめらかさが全体を上品にまとめている。冷酒から燗まで幅広い温度帯で楽しめる懐の深さも特徴だ。
吉田酒造店の山廃仕込みは蔵の伝統的な技法のひとつとして継承されており、「本流」の華やかさとは対極にある力強さと深みで手取川ブランドの幅を広げている。燗にすると旨みがさらに膨らみ、冬の北陸料理との相性は抜群だ。おでん、ぶり大根、かに鍋など温かい料理と合わせることで、山廃の真髄を堪能できる。伝統と革新の両輪で進む吉田酒造店の哲学を体現する一本として、日本酒通から深い信頼を得ている。
テイスティングノート
香り
複雑な旨みの香り。乳酸由来のヨーグルトのようなニュアンス、ナッツ、穀物、ほのかなチーズの風味。温めるとさらに香りが開く。
味わい
力強くふくよかな口当たり。山廃ならではの複雑な旨みとコクが広がり、乳酸由来の酸が味わいに立体感を与える。白山の軟水がもたらすなめらかさが全体を上品にまとめる。
余韻
長い旨みの余韻。温かみのある酸と米の深い旨みが心地よく続く。燗にすると余韻はさらに長くなる。
酒
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