翠(SUI)ジンは、2020年にサントリースピリッツが発売した日本産クラフトジンである。「気軽に楽しめるジャパニーズジン」をコンセプトに開発され、同社のプレミアムライン「六 ROKU」とは異なるアプローチで日本のジン市場を切り拓いた。価格帯は700mlで約1,500円前後と、クラフトジンとしては極めて手頃な設定となっている。
使用するボタニカルは6種。柚子、緑茶(煎茶)、紫蘇という日本固有の3素材に、ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルートの伝統的な3素材を組み合わせている。六 ROKUが14種のボタニカルを6つの蒸留器で個別に蒸留する複雑な製法を採用するのに対し、翠はよりシンプルな製法で軽快な味わいを実現している。
発売後、翠は日本国内のジン市場で圧倒的なシェアを獲得し、最も売れたジンの地位を確立した。「翠ジンソーダ」という飲み方を提案し、ハイボール文化が根づいた日本において「ジンソーダ」という新しいカテゴリーを事実上創出した。居酒屋やコンビニエンスストアにも広く展開され、それまでカクテルのベースとしてのイメージが強かったジンを日常の食中酒へと変えた功績は大きい。
サントリーのジン戦略において翠は入門編、六 ROKUは本格派という明確な役割分担がなされている。翠の爆発的ヒットはジャパニーズジン全体の認知度を高め、結果としてROKUを含むプレミアムジンの市場拡大にも貢献した。2023年にはRTD(缶入り)製品も発売され、さらなる裾野の拡大を図っている。
テイスティングノート
香り
柚子の爽やかな柑橘香がまず立ち上がり、続いて煎茶の青々しいグリーンノート、ジュニパーの針葉樹的な香りが穏やかに広がる。紫蘇のハーバルなニュアンスが全体をまとめ、軽やかで親しみやすいアロマプロファイルを形成している。
味わい
口当たりはクリーンで軽快。ジュニパーの芯のあるドライさに柚子の爽快な酸味が重なり、煎茶由来の微かな渋みが奥行きを添える。紫蘇のフレッシュな風味がアクセントとなり、アルコールの刺激は40度ながら控えめに感じられる。ソーダ割りにすると柑橘系の香りがさらに際立ち、食事との相性が一段と高まる。
余韻
比較的短くクリーン。柚子の余香とジュニパーのほのかなドライさが口中にわずかに残り、すっきりと消えていく。後味の軽さが食中酒としての適性を裏付けている。
酒
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