サンクトガーレン スイートバニラスタウトは、神奈川県厚木市に拠点を置くブルワリー・サンクトガーレン株式会社が製造するスペシャルティスタウトである。サンクトガーレンは1993年にサンフランシスコでクラフトビール醸造を始め、1994年の地ビール解禁に先んじてアルコール度数1%未満のビールを六本木で提供したことから「日本の地ビール第1号」とも称される老舗ブルワリーだ。代表の岩本伸久氏がアメリカのクラフトビール文化に触れ、その可能性に感銘を受けて帰国後に立ち上げたブランドであり、日本のクラフトビール産業の礎を築いた存在である。
スイートバニラスタウトが誕生した背景には、「チョコレートビール」というユニークなカテゴリーへの挑戦がある。サンクトガーレンはバレンタインシーズンに合わせた限定ビールとしてチョコレートビールを展開してきたが、スイートバニラスタウトはその中でもバニラの甘みを前面に押し出した個性的なラインナップとして定番商品に昇格した銘柄である。使用するバニラビーンズは一流パティシエも使用するパプアニューギニア産Aグレードで、人工香料・エッセンスは一切不使用という素材へのこだわりが徹底されている。
スイートバニラスタウトの醸造コンセプトは「飲むデザート」とも言えるものであり、ベースとなる黒ビールを通常より甘めに仕込み、バニラの甘く優雅な香りを溶け込ませることで、エスプレッソとバニラチョコを同時に楽しむような複雑な味わいを実現している。アルコール度数は6.5%とスタウトとして飲みごたえのある設定であり、食後のデザートビールとして、あるいはチョコレートスイーツとのペアリングとして楽しまれることが多い。
国際的な評価は目覚ましく、2015年のワールド・ビア・アワード(World Beer Awards)においてフレーバービール・ハーブ&スパイスビール部門で「ワールドベスト・スタイル(世界一)」を受賞した。また、ジャパン・アジア・ビアカップでは2007年銅賞・2009年銅賞・2014年金賞、インターナショナル・ビア・コンペティション(国際ビール大賞)では2007年金賞・2008年銅賞、モンドセレクションでは2008年銀賞・2009年銅賞・2010年金賞を獲得している。さらにジャパン・ビア・フェスティバル東京2007では来場者人気投票1位に輝き、2014年には東京都知事賞を受賞するなど、プロ評価と消費者人気の両面で傑出した実績を誇る。
サンクトガーレン スイートバニラスタウトはバレンタイン限定バージョンも毎年展開されており、チョコレートをイメージしたパッケージで贈り物需要も獲得している。フレーバービールへの先駆的挑戦と素材の品質へのこだわりによって、単なる「変わり種ビール」を超えた本格クラフトとして国内外のビール愛好家に高く評価されており、日本のクラフトビール界における個性的なポジションを確立した歴史的銘柄でもある。
テイスティングノート
香り
パプアニューギニア産バニラビーンズの甘く官能的な香りが最初に訪れ、続いてエスプレッソのような深みのある黒ビールのアロマが重なる。チョコレートとバニラが混ざり合う菓子店のような甘い香気。
味わい
ベースの黒ビールは通常より甘めに仕込まれており、まろやかなモルトのボディにバニラの甘みがしっかりと溶け込む。チョコレートモルト由来のビター感が後半に現れ、甘みと苦みのコントラストが複雑な味わいを生む。アルコール度数6.5%の飲みごたえある一杯。
余韻
後味はバニラチョコのような甘く温かみのある余韻が長く続く。ローストモルトの微かな苦みが甘さを引き締め、デザートビールとしての完成度を高める。食後の一杯として至福のフィニッシュ。
酒
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