サンクトガーレンは、日本のクラフトビール史において最も重要な位置を占めるブルワリーの一つだ。創業者の岩本伸久は1993年3月、米国サンフランシスコにブルワリーパブ「カフェ・パシフィカ」を開業し、ビール醸造を開始した。日本人がアメリカでブルワリーを開業するという出来事はTIMEやNewsweekにも取り上げられるほどの話題となった。同年冬には東京・六本木に飲茶レストラン「サンクトガーレン」を開業し、クラフトビールの提供を始めた。1994年の酒税法改正による地ビール解禁前に、アルコール度数1.0%未満のビールを国内醸造していたことから「日本の地ビール第1号」と称されることもある。
1997年、念願の国内本格醸造所として神奈川県厚木市に拠点を移したサンクトガーレンは、以降「元祖地ビール屋」として日本のクラフトビール文化を牽引し続けてきた。アンバーエールはその歴史的出発点となった初期ラインナップの一つであり、ブルワリーのアイデンティティを体現する定番商品だ。スタイルとしてのアンバーエールは、ペールエールとスタウトの中間に位置するスタイルで、赤みがかった深いブラウン色と、モルトの豊かなコクを軸に構成される。サンクトガーレン版ではザーツホップとウィラメットホップを組み合わせ、上品な香りと柔らかな苦味のバランスを追求している。
IBU(国際苦味単位)24というほどよい苦味値は、クラフトビール初心者から愛好家まで幅広い層に受け入れられる設計だ。モルトの香ばしさと甘みを軸に、苦味が絶妙なアクセントとして機能するアンバーエールというスタイルは、ホップの刺激的な苦味を前面に押し出すIPAや重厚なスタウトとは異なる「ゆったりと楽しめる日常のビール」を体現している。日本のクラフトビール市場が拡大し多様化した現代においても、サンクトガーレン アンバーエールはパイオニアブルワリーの原点として変わらぬ支持を集め続けている。
テイスティングノート
香り
ザーツホップの気品ある花のような香りとモルトの香ばしさが穏やかに立ち上がり、ウィラメットホップの柔らかな草木の香りが後ろに続く。
味わい
赤みがかった琥珀色の外観通り、モルト由来のほのかな甘みとコクが舌全体に広がり、ほどよい苦味がリズムよく引き締める。
余韻
モルトの香ばしさを残しながら、苦味が穏やかに消えていく。重すぎず軽すぎない、次の一口を自然に誘う心地よい余韻。
酒
💬0