モートラック 20年は、スペイサイドの「野獣(The Beast of Dufftown)」と呼ばれるモートラック蒸留所が手がけるコアレンジの最上位に位置するシングルモルトである。2014年にディアジオがモートラックのシングルモルトレンジを刷新した際に、12年・16年とともに新たにラインナップに加わった。シェリー樽で20年以上の長期熟成を経た原酒のみを使用し、モートラックの最も洗練された姿を表現する特別な一本である。
モートラック蒸留所は1823年にダフタウンで最初に設立された蒸留所であり、独自の「2.81回蒸留」と呼ばれる極めて複雑な蒸留プロセスを採用している。3組6基のポットスチルが異なる役割を果たし、一部の原酒は2回、一部は3回蒸留される。この独特の蒸留方法が生み出す濃厚で肉厚なスピリッツは「スペイサイドのビースト」の異名通り、同地域の他の蒸留所とは一線を画す力強い個性を持つ。
20年の長期熟成により、モートラック特有のミーティー(肉のような)な風味がシェリー樽のリッチなフルーツとスパイスに包まれ、驚くべき複雑さと深みを獲得している。「コーウィーズ・ブルーシール」の副題を持つこのボトルは、かつてモートラックのウイスキーが品質の証として青い封蝋(シール)で封印されていた歴史に由来する。
日本市場ではウイスキー通の間で「知る人ぞ知るスペイサイドの至宝」として評価されており、ブレンデッドウイスキーの原酒としての名声を超えて、シングルモルトとしての実力を証明する存在となっている。
テイスティングノート
香り
シェリー樽由来のリッチなアロマが前面に立つ。熟した杏、パイナップル、ライチのジューシーなフルーツ香に、オレンジフラワーハニーとポプリの甘い香りが重なる。奥にはモートラック特有のワクシーさ、家具の磨き粉を思わせるオイリーな香りが潜み、かすかにナッツとスパイスが漂う。
味わい
重厚でフルボディ。ヌガー、フレッシュオレンジ、クルミとアーモンドのナッティーな風味が口中に広がる。中盤からキャラメル、ストーンフルーツ、ココアの甘みが現れ、蜂蜜とオールドオークの木質感がドライイチジクと溶け合う。モートラック特有のミーティーなコクが全体を支え、複雑で重層的な味わいを構成する。
余韻
ミディアムロング。オレンジオイルとモルティーなシリアル感がやや鋭く残り、シェリーの甘みとオークのスパイスが交互に現れながらゆっくりと消えていく。特別な日に味わうべき深遠なフィニッシュ。
酒
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