南(みなみ)は、高知県安芸郡安田町の有限会社南酒造場が手掛ける銘柄だ。1871年(明治4年)創業の歴史ある蔵ながら、年間生産量はわずか数百石という小規模な蔵元である。高知の山間の澄んだ空気と豊かな伏流水の中で少量丁寧に醸される「南」は、知る人ぞ知る土佐の名酒だ。
「純米吟醸 松山三井(まつやまみい)」は、愛媛県が開発した希少な酒造好適米「松山三井」を使用した一本だ。松山三井は明治時代から続く老品種で、一時は消滅の危機に瀕したが愛媛県が復活させた経緯を持つ。この希少米を高知の蔵が使うことで、四国の酒米文化をつなぐ意義深い一本となっている。
高知の酒といえば「辛口・キレ・食中酒」というイメージがあるが、南酒造場はその土佐スタイルを守りながらも、松山三井の優しい旨みを活かした柔らかさも兼ね備えた設計を目指す。高知の食文化(カツオ・皿鉢料理)との相性を強く意識した食中酒として、地元での根強い人気を誇る。
首都圏・大阪での流通は限られるが、全国の「高知の酒を愛する」日本酒ファンから根強い支持を集める。高知に旅した際に出会い、その魅力に取りつかれるという評判が多い。
テイスティングノート
香り
穏やかで優しい吟醸香。松山三井ならではの爽やかな果実(青りんご・白桃)のアロマと、高知の清涼な水を感じさせる清々しさが調和する。甘すぎず主張しすぎない、食事に寄り添う控えめな香り立ち。
味わい
柔らかで軽やかな口当たり。松山三井の優しい甘みと旨みが口の中に広がり、土佐らしいキレのよい酸が後味を引き締める。甘みと辛みのバランスが絶妙で、料理の邪魔をしない食中酒としての完成度が高い。
余韻
すっきりとしたドライなフィニッシュ。後味に残る微かな旨みの余韻と爽やかな酸が心地よく、何杯飲んでも飽きない設計。高知の食文化に育まれた、清廉で潔い余韻。
酒
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