マノックモア 12年 フローラ&ファウナ(Mannochmore 12 Year Old Flora & Fauna)は、Diageoが展開する「Flora & Fauna」シリーズの一本として1990年代にリリースされた。フローラ&ファウナシリーズは、普段はブレンド用原酒として使われる「ヒドゥン・ディスティラリー(隠れた蒸留所)」の個性をシングルモルトとして世に出すことを目的としており、マノックモアもその一蒸留所として静かに注目を集めた。ボトルラベルには同蒸留所周辺に生息するオジロジカが描かれており、スペイサイドの豊かな自然を体現したデザインとなっている。
マノックモア蒸留所が世間の耳目を集めたエピソードとして欠かせないのが、黒ウイスキー「ロッホデュー(Loch Dhu)」の存在だ。1996年頃にリリースされたこのウイスキーは、チャコールフィルタリングによって着色された漆黒のビジュアルが話題を呼んだ。しかしウイスキー愛好家や批評家からの評価は芳しくなく、Jim Murrayのウイスキー・バイブルでも低評価を受けた結果、UDV(United Distillers & Vintners)は市場在庫を全量回収・廃棄するという異例の措置を取った。このエピソードにより、ロッホデューは「幻のウイスキー」として希少価値が生まれ、現在ではコレクターズアイテムとして高値で取引される逆転現象が生じている。
ロッホデュー事件以降、マノックモアはひたすらブレンド用原酒の生産に専念し、シングルモルトとしての公式リリースはフローラ&ファウナの12年が実質的な唯一の定番ボトルとなっている。アメリカンオーク(エックス・バーボン樽)で12年熟成されたこの一本は、スペイサイドらしい軽快さとフローラルなキャラクターを持ち、ライトスタイルのスコッチを好むファンに支持されている。知名度は高くないが、独立瓶詰め業者(ゴードン&マクファイル、ケイデンヘッドなど)からも定期的にボトリングされており、その素直で飾らない蒸留所キャラクターが熟練ボトラーに評価されている。
テイスティングノート
香り
新鮮な草、シリアル、軽い花のアロマ。バニラとほのかなシトラスが奥に感じられる。
味わい
軽やかなモルト感とクリーミーなテクスチャー。バニラ、白桃、薄いハチミツが広がるやさしい甘さ。
余韻
ドライでスパイシーな余韻。オーク由来のタンニンが穏やかに残り、すっきりと消えていく。
酒
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