リンクウッド 12年 フローラ&ファウナは、1990年代にUDV(ユナイテッド・ディスティラーズ)が展開した「フローラ&ファウナ」シリーズの一本として誕生した。同シリーズは公式シングルモルトの少ない「隠れた蒸留所」のモルトを正規ボトリングで紹介することを目的に企画され、リンクウッドはその中でも特に評価の高いボトルのひとつとなった。ボトルのラベルには野生動植物のイラストが描かれ、スペイサイドの自然豊かな環境と蒸留所の個性を視覚的に表現している。
12年熟成のエックス・バーボンカスクがもたらす穏やかなバニラと洋梨の甘みが核となり、そこにリンクウッド特有のフローラルなエステル香が重なる。43%というアルコール度数は過度な加水をせず原酒の個性を保ちつつ、飲みやすさとのバランスが取れた設定だ。ノンチルフィルタードに近い処理とナチュラルカラーの組み合わせが、リンクウッド本来の複雑味をグラスに届ける。
スコッチウイスキー愛好家の間では、リンクウッドは「ブレンダーが手放さない原酒」として長らく知られ、シングルモルトとして市場に出回る量がきわめて少ない。そのため、フローラ&ファウナ版はリンクウッドを単一蒸留所のモルトとして体験できる貴重なアイテムとして愛好家に重宝されている。Diageoが生産・販売を継続しているため入手は比較的安定しているが、プレミアム市場での引き合いも強い。
テイスティングノート
香り
バニラ、洋梨、白桃の穏やかな甘み。奥に蜂蜜とジャスミンを思わせる繊細なフローラルノート。僅かにグレープフルーツの皮のような清潔感のある苦みが鼻腔をくすぐる。
味わい
口当たりはシルキーで、バニラクリームと熟した洋梨の甘みが広がる。中盤にスペイサイドらしい麦芽の甘みとオーク由来のスパイス(シナモン・ナツメグ)が加わり、全体に柔らかくバランスが整っている。
余韻
ミディアムレングスの余韻で、ほのかなオークタンニンとバニラの甘みが残る。最後にドライな麦芽感が締めくくる、清潔感のある後口。
酒
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