光栄菊 幾望(きぼう)無濾過生原酒は、佐賀県小城市の光栄菊酒造が醸す人気シリーズの一角である。「幾望」とは陰暦で十五夜の前夜、つまり満月にほぼ近い月を意味し、完成への希望を込めた銘柄名だ。兵庫県産山田錦を使用し、無濾過・無加水・生の状態で瓶詰めされる。
光栄菊酒造は1902年(明治35年)創業だが、一度は廃業の危機を迎えた。2019年に元獺祭の営業マンだった日下信次氏が蔵を引き継ぎ、山口県から佐賀県に拠点を移して復活を遂げた。醸造を担当するのは杜氏の山本克明氏で、自然の力を活かした酒造りを実践。天然の乳酸菌や酵母が生み出す複雑な香味は、従来の日本酒の枠を超えた独自の世界観を持つ。
ラベルデザインも洗練されており、若い世代の日本酒ファンからの支持が厚い。天然の微発泡を伴う軽やかな飲み口は、食前酒としてもデザート酒としても楽しめる。開栓時には炭酸ガスの圧力で吹き出すことがあるため、よく冷やしてゆっくり開けるのがコツ。佐賀の新たな銘酒として、全国の地酒専門店で引き合いが絶えない。
テイスティングノート
香り
開栓と同時にシュワッと立ち昇る微発泡とともに、白い花やマスカット、青りんごの爽やかな香りが広がる。奥には乳酸発酵由来のヨーグルトのようなニュアンスもあり、自然派ワインを思わせる複雑さがある。
味わい
口に含んだ瞬間、天然の炭酸ガスが舌の上で弾け、フレッシュで躍動感のある第一印象。山田錦の上品な甘味がゆっくりと広がり、それを支える適度な酸味がワインのような構造感を与えている。アルコール度数14%と低めの設計で、軽やかに飲み進められる。中盤にはほのかな乳酸の旨味が加わり、味わいに深みを添える。
余韻
心地よい酸味とともに余韻が続く。最後にグレープフルーツのような爽やかなビター感が顔を出し、清涼感のあるフィニッシュ。発泡感が記憶に残る印象的な飲み口で、二杯目に自然と手が伸びる。
酒
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