キリンラガービールの歴史は1888年(明治21年)にさかのぼる。ジャパン・ブルワリー・カンパニーが麦芽・ホップ・機械設備をすべてドイツから輸入し、ドイツ人技師の指導のもと本格的なドイツ風ビールを醸造したのが始まりだ。ブランド名に使われた「麒麟」は、東洋の想像上の動物で幸福・吉兆の象徴として知られる。当時の西洋ビールのラベルには動物の絵柄が描かれることが多く、それにならいつつ東洋らしさを込めた意匠として採用されたとされている。明治期の日本においてビールはまだ庶民に馴染みが薄かったが、キリンビールはその普及に大きく貢献した。
1896年(明治29年)に麒麟麦酒株式会社が設立され、戦前から戦後にかけて長くビール業界トップの地位を維持した。特に1950年代から1980年代にかけてキリンラガーは「一強時代」を謳歌し、日本のビール市場で最大シェアを誇った。しかし1987年のアサヒスーパードライ登場以降、シェアは徐々に低下。スーパードライにトップの座を明け渡してからも、ラガービールは「日本の定番ビール」としての存在感を失わず、根強い愛飲家を持ち続けている。2020年には10年ぶりのリニューアルを実施し、ホップの使用量や配合を調整して飲み飽きないバランスに仕上げた。
キリンラガービールは現在、「キリン ラガービール(生)」と「キリン クラシックラガー(熱処理)」の2種類が展開されている。クラシックラガーは明治期の製法に敬意を表した熱処理製法を採用しており、独特の苦みと風味が熱心なファンに支持されている。大手メーカーが通年販売するビールの中では最も高いIBUを誇るとされ、ホップの効いた飲みごたえあるスタイルはラガービール本来の力強さを体現している。ラインナップにおいてはブランドの原点かつ「正統派」として位置づけられ、一番搾りとは異なる個性で支持されている。
テイスティングノート
香り
ホップ由来の明確な苦香がまず立ち上り、麦芽のロースト感とともに伝統的なラガーらしい香りを形成する。
味わい
しっかりとした苦みとコクが口全体に広がり、大手国産ビールの中でも際立つ飲みごたえのある骨格を持つ。
余韻
ビターな余韻が長めに持続し、ホップの効いた重厚感を残しながらゆっくりと消えていく。
酒
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