キリン一番搾り生ビールは1990年3月22日に発売された。1980年代の多様化する消費市場に対応すべく、キリンビールは「会社の命運をかけた大型定番商品」の開発に臨んだ。開発チームが目指したのは「キリンのイメージをしっかり持った最上の味の生ビール」であり、「上品なコクがあり、のどごしが爽快で、後口がさっぱりしている」ビールだった。その答えとして採用されたのが「一番搾り製法」だ。麦汁ろ過工程で最初に流れ出る一番搾り麦汁だけを使うことで、タンニン成分が少なく渋みのないクリーンな味わいを実現した。この技術は世界でもキリンだけが採用する独自製法である。
商品名「一番搾り」はシンプルかつ製法の本質を表した名称として選ばれた。当初は高品質な原材料・製法ゆえに価格を上乗せする案もあったが、社長の「良いものを安く提供するのが当社の責務」という判断により通常価格での発売が決定した。発売後は品質の高さが消費者に支持され、ロングセラーブランドへと成長。2009年には米などの副原料の使用を廃止して麦芽100%に移行し、通常の1.5倍の麦芽を使用するという贅沢な仕様となった。2020年の「日本ネーミング大賞」でも受賞するなど、ブランド名としても高い評価を得ている。
スーパードライが席巻した1990年代以降も一番搾りは根強い支持層を獲得し、「ビール離れ」が叫ばれる時代においても国内ビール市場の上位を維持し続けた。ラインナップ内では「本格的な旨みを持つスタンダード」として位置づけられ、「一番搾りプレミアム」「47都道府県の一番搾り」など多彩な派生商品を展開している。近年は「キリン晴れ風」など新商品にも注目が集まるが、一番搾りはキリンビールの顔として揺るぎない地位を保ち続けている。
テイスティングノート
香り
一番搾り麦汁由来の穏やかで上品な麦の甘香りが広がり、ホップの爽やかなフローラル香が後からついてくる。
味わい
渋みが少なくクリーンなコクが口中に満ち、麦芽の旨みが丁寧に感じられるバランスのとれた飲み口。
余韻
さっぱりとした後口でありながら麦の余韻がほのかに持続し、嫌みのない爽快なフィニッシュを見せる。
酒
💬0