キルオーウェン蒸留所は、北アイルランドのモーン山麓ニューリーにブレンダン・カーティによって2019年に設立された小規模蒸留所だ。建築家出身のカーティは2017年にプロジェクトを立ち上げ、アイルランドで最も小さい部類の蒸留所の一つとして、手作業で製造した独自の銅製ポットスチルで仕込まれる個性豊かなウイスキーを生み出している。
「シグネチャー・シリーズ」は、キルオーウェンの源泉ウイスキーをさまざまなカスクでフィニッシュして個性を引き出すシリーズだ。「ラム&レーズン」5年は、バーボン樽で5年熟成したシングルモルトを自社のダーク・ラム樽とペドロ・ヒメネス(PX)シェリーバットに分けてフィニッシュした一本で、まるでラム&レーズンのお菓子を想起させる甘く果実的なプロファイルが目指されている。
「ラム&レーズン」という名称は、その風味プロファイルをそのまま反映した直感的な命名だ。ラベルには蒸留所名「Killowen」のロゴと、カスクの素材感を思わせるシンプルなデザインが施されている。カーティの哲学は透明性と信頼であり、カスク強度・非冷却濾過・無着色という3つの原則がシリーズ全体に貫かれている。
キルオーウェンの自家製ポットスチルは1000リットルの「Christoir」と800リットルの「Broc」の2基で構成され、フレームによる直火加熱とワームタブ冷却という伝統的な設備を採用している。アイルランドでワームタブ冷却を現在も使用する希少な蒸留所であり、この設備がキルオーウェンのスピリットに独特の重厚さと複雑さをもたらすとされる。
シグネチャー・シリーズはキルオーウェンのラインナップの中で、手の届きやすい価格帯と個性的な風味の両立を狙った中核レンジとして機能している。上位の「バランティール(Barántúil)」シリーズが5年以上の自家蒸留ウイスキーを使用した本格的な自社スピリット表現であるのに対し、シグネチャーはソース調達スピリットをキルオーウェンのフィニッシュ技術で仕上げた独自のアプローチをとっている。
ワールド・ウイスキーズ・アワードでシルバーメダル、サンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティションでもシルバーを受賞するなど国際的な評価を確立した。「Demi Tastes Whiskey」ブログでは「7.4/10(Here, That’s Class)」を獲得し、「ラム樽とPXのシナジーが生む甘さとスパイスのバランスが秀逸」と評されている。愛好家コミュニティでは「コンフェクショナリーな甘さとカスクストレングスの力強さの共存」が高く評価されている。
テイスティングノート
香り
バニラ、トフィー、キャラメルの甘い基調に、ダークラム由来のモラセスとPXシェリーのドライフルーツが重なる。ドライフィグとレーズンのコンポートのような香りが全体を包み込み、ラム&レーズンのお菓子を想起させる甘美なアロマを形成する。
味わい
ウォームでやや刺激的な口当たりの後、シナモン・レーズン・コンポートの甘さがじわりと広がる。シロップ状のダークフルーツ、カルダモン、アップルのフレッシュさが層を成し、高いアルコール度数がそのすべてをうまく引き締めている。
余韻
55%カスクストレングスならではの余韻の豊かさがあり、スパイスドラム、ダークチョコレート、わずかなナッティーなオークが長く持続する。甘さと強さが一体化した満足感のある後味。
酒
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