桂月 吟之夢 純米大吟醸は、高知県土佐郡土佐町に蔵を構える土佐酒造が手がける、高知オリジナルの酒米「吟の夢」を使用した純米大吟醸酒である。土佐酒造は1877年(明治10年)創業で、四国山地の標高約350メートルの高冷地に位置するという、日本の酒蔵としては珍しい立地条件を持つ。この標高がもたらす冷涼な気候は、低温長期発酵に理想的な環境を提供し、繊細で華やかな吟醸酒造りに大きく貢献している。
「吟の夢」は高知県農業技術センターが山田錦と日本晴を交配して開発した高知生まれの酒米で、吟醸造りに適した特性を持つ。この米を40%まで精米し、土佐山中の清冽な伏流水で仕込むことで、華やかでありながら芯のある味わいを実現している。土佐酒造ではCEL-24酵母を使用した甘口のラインが人気だが、この吟之夢は吟の夢米の特性を引き出すことに主眼を置き、高知の酒らしいシャープな酸味と果実味の調和を目指した造りとなっている。
桂月ブランドは近年の国際コンペティションで存在感を増しており、IWC SAKE部門やKura Masterでメダルを獲得している。特にCEL-24シリーズで世界的な注目を集めた土佐酒造だが、吟之夢は「高知のテロワールを表現する一本」として蔵元が特に力を入れている商品である。高知県は「酒豪の国」として知られ、宴席での盃の交わし方が独自の文化を形成しているが、桂月の繊細な吟醸酒は「高知の酒=辛口で強い」というイメージを覆す新世代の高知酒として注目されている。
テイスティングノート
香り
華やかで芳醇な吟醸香。マスカット、青リンゴ、白い花の香りが主体で、奥にはかすかに和三盆のような上品な甘みが漂う。吟の夢米と冷涼な環境が生み出す繊細なアロマが印象的。
味わい
口に含むとジューシーな果実味が広がり、マスカットや白桃を思わせる甘みが口中を満たす。しかし高知の酒らしいキレのある酸味がすぐに現れ、甘さを引き締める。ミネラル感のある水の清らかさが味わいの土台を支え、全体として透明感のある凛とした味わいに仕上がっている。
余韻
余韻はやや長め。果実の甘みと酸味が心地よく溶け合いながら消えていき、最後にかすかなミネラルの余韻が残る。後口はクリーンで爽やか。
酒
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