上善如水 純米大吟醸は、新潟県南魚沼郡湯沢町の白瀧酒造が醸すプレミアム日本酒である。白瀧酒造の創業は安政2年(1855年)。初代・湊屋藤助が越後国に居を構え、三国街道を行き交う旅人や商人に酒を振る舞ったことに始まる。湯沢は川端康成の名作「雪国」の舞台として世界的に知られる豪雪地帯であり、蔵には3本の井戸があり、50年以上の歳月をかけて積雪が浸透してできた軟水の伏流水を汲み上げている。「軽く、柔らかく、ほんのり甘い」雪解け水こそが上善如水の繊細な風味の根底をなしている。
ブランド名「上善如水」は、中国古代の思想家・老子の「道徳経」第8章の一節「上善若水」に由来する。「最上の善は水のようなものだ。水は万物を利益し、争わず、人の嫌う低いところに身を置く」という哲学を「水のように邪魔をせず、すべてのものと調和する酒造り」の理念と重ねた。1990年9月、六代目当主・高橋智がこのブランドを発売。バブル経済末期、上越新幹線とスキーブームで若者が湯沢に大挙していた時代に「白ワインのようなフルーティで飲みやすい日本酒」をコンセプトとし、半透明の淡ブルーボトルにデジタルフォントという斬新なデザインで登場した。「これは日本酒じゃない」と批判する伝統派もいたが、日本酒初心者や若い女性層に爆発的に支持された。
純米大吟醸はラインナップの最上位に位置する。精米歩合50%以下まで磨いた米を醸造アルコールを使わない純米仕込みで醸し、純米吟醸の「華やかでライト」な印象に対して「厚みのある味わい」を実現する。2009年には七代目・高橋陽介が28歳で蔵を継ぎ、醸造アルコール添加の吟醸から純米吟醸への転換という大胆な改革を断行。リスクを冒した刷新は成功しブランドの再生につながった。現在は輸出の約70%をアジア市場が占め、「最初に飲む本格的な日本酒」として世界的に認知されている。
テイスティングノート
香り
グラスから立ち上がるフルーティで清冽な吟醸香。マスカットや洋梨を思わせる品よいフルーツ香が主体で、過度に華やかではなく上善如水らしい控えめで上品な香り立ち。雪国の軟水が生む透明感が香りにも反映されている。
味わい
口に含むと非常にやわらかな口当たり。純米吟醸に比べて「厚みのある味わい」が特徴で、ほんのりとした旨みが中盤に広がり、米由来の自然な甘みを感じる。雑味がなく、すーっとなめらかに広がる。SAKETIMESは「ふんわりと広がる余韻」と評している。
余韻
ドライで清潔感のある後味。甘みが残りすぎず、スパッと消えていく潔さが上善如水らしさ。刺身やカルパッチョなどシンプルな料理と好相性で、食中酒として料理の邪魔をしない。
酒
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