「インドの青鬼」の原点は2007〜2008年にかけてヤッホーブルーイングが試験的に限定販売したIPAスタイルのビールにある。当時の日本ではIPAというカテゴリー自体がほとんど知られておらず、ホップの強烈な苦味は市場に受け入れられにくく、売れ行きは芳しくなかった。それでも毎年期間限定で販売を続け、少しずつコアなビールファンの支持を獲得していった結果、2013年についに通年販売の定番商品へと昇格。日本のクラフトビール愛好家にIPAというスタイルを広く定着させた功績は大きい。
ブランド名の構成は非常に論理的だ。「インド」はIPAの正式名称「India Pale Ale」に由来し、大航海時代にイギリスで製造したビールを植民地のインドまで船で運ぶ際、腐敗を防ぐために防腐効果のあるホップを大量に投入したことがIPAスタイルの起源とされることに因んでいる。「青鬼」はホップという植物の青々とした躍動感と、飲む者を虜にして放さない「鬼」のような個性を表現した命名だ。歴史的背景と商品特性を見事にネーミングへ落とし込んだ好例として、業界内でも高く評価されている。
アルコール度数7.0%はよなよなエールの5.5%を大きく上回り、ヤッホーブルーイングのレギュラーラインナップの中でも明確に「強烈な個性派」として位置づけられている。グレープフルーツを思わせる華やかなホップの香りの奥に潜む強烈な苦味は、一口目から飲み手に強烈な印象を与える。その圧倒的な存在感から「一度飲んだら忘れられない」と評する愛好家が多く、IPAという苦味の強いスタイルがニッチだった日本市場において、大衆的な認知度を獲得した稀有なブランドとなっている。
テイスティングノート
香り
グレープフルーツや南国系フルーツを思わせる華やかなホップアロマが立ち上がり、奥には麦芽のしっかりとした甘みが感じられる。
味わい
ホップの強烈な苦味が舌全体に広がり、深みのある麦芽のコクがそれを支える。苦味と旨味のダイナミックな拮抗が続く。
余韻
長く続くホップの苦味の余韻が後口を引き締め、飲み干した後もビターな風味が口中にしっかりと刻まれる。
酒
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