インドの青鬼は、長野県軽井沢町に本拠を置くヤッホーブルーイングが手がけるアメリカンスタイルのインディアペールエール(IPA)である。IPAというビアスタイル名は、19世紀にイギリスからインドへの長期航海に耐えられるよう大量のホップを投入したことが由来であり、その歴史をユニークな日本語で表現した商品名「インドの青鬼」は誕生以来、クラフトビールファンの記憶に鮮烈に刻まれてきた。
缶デザインは「大航海時代の空と海」を想起させる深い紺色を基調とし、驚愕するほどの苦みを象徴する青鬼の顔が大きく描かれている。このインパクトあるビジュアルはビールの個性を的確に伝え、クラフトビールがまだ一般的でなかった時代に消費者の興味を引きつけるマーケティング上の重要な役割を担った。
開発においてはアメリカンホップのパワフルかつ華やかな香りを最大限に引き出すことが最優先とされた。ホップの添加タイミング・種類・配合に徹底的にこだわり、「ホップの苦みと香りを楽しむ」という体験をビール初心者にも分かりやすく伝えることを目指している。アルコール度数は約7%と高く、IBU(国際苦味単位)は77以上と一般的なラガービールと比較して圧倒的な苦みを誇る。
受賞歴では、モンドセレクション2011年・2012年の国際ビールコンペティションにおいてEnglish IPA部門で金賞を獲得した。また2011年〜2014年にはモンドセレクション金賞を連続受賞し、クラフトビールの枠を超えて品質の高さが国際的に評価されている。
近年のクラフトビールブームにおいて「インドの青鬼」は日本IPAの代名詞的存在となっている。缶での展開は自宅でのクラフトビール体験を広げ、よなよなエールとともにヤッホーブルーイングを日本最大手のクラフトビールメーカーへと押し上げた立役者である。「ビールは苦くて当たり前」という常識を超えた「苦みを楽しむ文化」を日本に根付かせた功績は業界内で広く認められている。
テイスティングノート
香り
アメリカンホップ由来のグレープフルーツ・レモンを思わせるシトラスアロマが力強く立ち上がり、松ヤニや熱帯果実を想起させるパイニーな香りも感じられる。ホップの青々しいグリーン感と甘みのある麦芽香が複雑に絡み合う。
味わい
口に含んだ瞬間からホップの強烈な苦みが全面展開し、存在感のあるモルトの旨みがそれを支える。グレープフルーツの果汁を絞ったような柑橘系の風味が苦みの中に輝き、7%のアルコールがボディに厚みを与えている。
余韻
苦みが長く余韻として続き、ホップのハーバルなニュアンスが鼻腔にしっかりと残る。ドライなフィニッシュで後口はすっきりしているが、次の一口を飲みたくなる独特の中毒性がある。
酒
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