五十嵐酒造(埼玉県飯能市)の特約店限定シリーズ「五十嵐」の中で、最も伝統的な醸造技術を駆使した一本が「生酛仕込み 純米酒」だ。「生酛(きもと)」は江戸時代から続く日本古来の酒母造り技法で、酒母を仕込む際に蒸し米・麹・水を力強くすり潰す「山卸(やまおろし)」と呼ばれる重労働を伴う工程が特徴。山廃仕込みよりさらに古い技法で醸された本品は、佐賀県産の酒造好適米「麗玉」を65%精米し、アルコール度数14%・日本酒度+3という穏やかな辛口に仕上げられている。
「麗玉」は佐賀県農業試験研究センターが開発した酒造好適米で、山田錦に比べてタンパク質が少なく、上品でなめらかな酒質に仕上がりやすいとされる。生酛仕込みとの組み合わせにより、速醸や山廃では得られない複雑な乳酸菌由来の旨味と自然な酸が生まれる。ABV14%という低アルコール設計は、生酛の複雑な味わいをより繊細に楽しめるよう配慮されており、食前から食後まで幅広いシーンで楽しめる。
五十嵐酒造は明治30年(1897年)創業の老舗蔵で、奥秩父の天然地下水を仕込み水に用いた軟水造りを得意とする。生酛仕込みという手間のかかる製法を採用したこの純米酒は、「五十嵐」シリーズの中でも特別な存在感を持ち、伝統的な日本酒の醸造文化に関心を持つ愛好家から高い関心を集めている。伊勢五本店など主要特約店を通じて提供される限定品だ。
テイスティングノート
香り
生酛仕込み特有の落ち着きのある乳酸様の香り。麗玉米の上品な甘みを予感させるアロマに、自然発酵由来の複雑な香りが重なる。
味わい
口に含むと生酛ならではの複雑で深みのある旨味が広がる。自然乳酸由来のなめらかな酸が全体を支え、麗玉の上品な甘みと日本酒度+3の穏やかな辛口が調和する。ABV14%の軽やかさが生酛の複雑さを余すところなく楽しませてくれる。
余韻
後口は清潔で、複雑な余韻がゆっくりと収束していく。生酛の醸すなめらかな酸が鼻腔に残り、上品に終わる。食前酒から食中酒まで幅広く活躍できる、懐の深い余韻を持つ。
酒
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