常陸野ネスト ペールエールは、文政6年(1823年)創業の老舗酒蔵・木内酒造(茨城県那珂市)が1996年にビール醸造免許を取得して生み出したクラフトビールブランド「常陸野ネストビール」を代表する銘柄のひとつである。フクロウのロゴで世界的に知られるこのブランドは、日本のクラフトビール黎明期から国際舞台で戦い続けてきたパイオニアであり、ペールエールはその中でもイギリス伝統スタイルへの敬意を込めて醸造されている。
銘柄名の「常陸野」は茨城の旧国名「常陸(ひたち)」に由来し、「ネスト(Nest)」はフクロウの巣を意味する。シンボルマークのフクロウは創業地・那珂市鴻巣の地名にちなんでおり、巣に帰るようにほっとできる安らぎの場所でこのビールを楽しんでほしいという醸造家の思いが込められている。ラベルに描かれたフクロウは世界各国のクラフトビール愛好家に親しまれ、現在では35カ国以上に輸出される日本を代表するクラフトビールブランドのアイコンとなっている。
常陸野ネスト ペールエールは、英国産の麦芽とアロマホップを使用し、古式の醸造法にこだわって仕込まれた淡色系の上面発酵ビールである。原材料には麦芽・ホップに加え、日本産の米を一部使用することで独自のまろやかさを実現している。クリスタルモルトによるほのかな甘みと香ばしさ、そしてアロマホップが放つフローラルで爽やかな香りが絶妙なバランスを形成しており、英国ペールエールの伝統的な骨格を持ちながらも日本人の嗜好に合わせた仕上がりとなっている。
世界的評価の面では、常陸野ネストビールブランド全体として1997年の初出品からわずか1年でインターナショナルビアサミット金賞を獲得して以来、累計200を超える国際コンテストで受賞を重ねてきた。ペールエール単体でもジャパン・アジア・ビアカップ金賞、オーストラリア国際ビアアワーズ銀賞、ジャパン・グレートビア・アワーズ銅賞などの受賞歴を持つ。ホワイトエールと並ぶブランドの看板銘柄として、特にアジアや北米のクラフトビール市場で高い評価を受けており、輸出比率が高い銘柄としても知られている。
木内酒造では日本酒・焼酎・ウイスキーと多岐にわたる醸造・蒸留を手がけているが、ビール部門では常陸野ネストビールシリーズを通じて「日本の素材と世界のスタイルの融合」というコンセプトを体現してきた。ペールエールはその中で最もスタンダードなスタイルに属し、クラフトビール入門者から熟練愛好家まで幅広く受け入れられている。英国伝統スタイルへの誠実な解釈と日本の職人気質が融合した一本として、日本のクラフトビール史においても重要な位置を占める。
テイスティングノート
香り
フローラルで爽やかなアロマホップの香りが前面に立ち、クリスタルモルト由来のほのかなキャラメルの甘みが背景に漂う。英国産ホップの草原を思わせるハーバルなニュアンスと、麦芽の香ばしさが重なり合う。
味わい
ミディアムボディで、アロマホップの爽やかな苦みが口中に広がる。麦芽由来の芳醇な旨みとクリスタルモルトのほのかな甘みが苦みを支え、バランスの取れた味わいを形成する。炭酸はやや穏やかで、英国スタイルらしい落ち着きがある。
余韻
後半にかけてホップの心地よい苦みが長く続き、余韻は穏やかで乾いたビター感で締まる。麦芽の香ばしさが残り、もう一口飲みたくなる爽やかな後口。
酒
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