日高見 芳醇辛口 純米酒は、宮城県石巻市の平孝酒造が醸す看板銘柄である。地元宮城県産ひとめぼれを60%まで磨き、北上川の伏流水で仕込む。「芳醇辛口」の名の通り、しっかりとした旨味を持ちながらもキレのある辛口に仕上げた、魚料理のための酒だ。
平孝酒造は1861年(文久元年)創業で、三陸の海の幸が集まる石巻の港町に蔵を構える。蔵元杜氏の平井孝浩氏は「日本酒は食事とともにあるべき」という信念のもと、特に魚介料理との相性を徹底的に研究してきた。寿司職人やシェフとの対話を重ね、魚の脂を心地よく流してくれる酒質を追求。その結果「魚でやるなら日高見だっちゃ」という言葉が自然と広まった。
2011年の東日本大震災では蔵が大きな被害を受けたが、全国の日本酒ファンや同業者の支援を受けて復興。震災後も品質をさらに高め、石巻の食文化を体現する酒として進化を続けている。ひとめぼれは食用米としての知名度が高いが、日高見ではこの米のクリーンな味わいを活かし、魚介の繊細な味を邪魔しない酒質を実現している。
テイスティングノート
香り
控えめで清楚な香り。ほんのりとしたメロンや白桃の果実香の奥に、ミネラル感のある涼やかな印象がある。主張しすぎない香りが、これから合わせる料理への期待を高める。
味わい
口に含むとまず透明感のある水の質感に驚く。続いて米の旨味がじわりと広がるが、すぐにシャープな辛口のキレが追いかけてくる。この「芳醇」と「辛口」の二律背反を見事に両立させているのが日高見の真骨頂。酸味は穏やかだが存在感があり、魚の脂をさっぱりと流してくれる。飲み込んだ後の口中のリセット感が素晴らしい。
余韻
すっきりとした短めの余韻。辛口のキレとともにほのかな旨味の余韻が残り、次の一貫、次の一切れに自然と箸が伸びる。食中酒としての完成度の高さが余韻にも表れている。魚介料理と合わせた時の相乗効果は格別だ。
酒
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