花の香 赤酒(肥後御国酒)は、熊本に400年以上伝わる伝統的な酒「灰持酒(あくもちざけ)」を花の香酒造が木桶仕込みで復活させた希少な酒だ。安土桃山時代に加藤清正が肥後国を治めて以来、代々の大名に「御国酒」として保護され続けた熊本独自の酒文化の生き証人。現代では清酒製造が主流となりほぼ姿を消した灰持酒を、菊池川流域産の米と木灰のみを原料として木桶で丁寧に醸す。
灰持酒とは何か
灰持酒(あくもちざけ)は、日本古来の酒造り技術のひとつで、醸造中に木灰(木を燃やした灰)を加えることが特徴だ。木灰のアルカリ性成分が腐造を防ぎ、さらに酒に独特の甘みと色(赤みがかった琥珀色)をもたらす。現代の清酒製造では火入れ(加熱殺菌)や添加物で腐造を防ぐが、灰持酒は火を使わない古式の手法を踏襲している。
花の香酒造の赤酒は、江戸時代の製法「五水(ごみず)」を採用している。五水とは、通常の日本酒の仕込みよりも水の割合を大幅に少なく(米の重量に対して約半量)した醸造法で、旨みが凝縮された甘くとろみのある仕上がりになる。米と水と木灰のみという潔い原料で、400年前の肥後の味を現代に蘇らせている。
肥後の御国酒としての歴史
赤酒の歴史は少なくとも安土桃山時代にまで遡る。戦国武将・加藤清正が肥後国(現在の熊本県)を治めた1588年以降、赤酒は「肥後の御国酒」として歴代の大名・藩主に保護されてきた。江戸時代には細川家のもとで熊本藩の正式な酒として生産が続き、藩外持ち出しを禁止するほど肥後に根付いた文化となった。
明治以降、清酒産業の近代化とともに灰持酒の生産者は激減し、現在では熊本県内の一部の蔵元だけが製造を続ける幻の酒となっている。花の香酒造の赤酒は、木桶仕込みという伝統にさらにこだわることで、最も古式に近い製法での復活を実現した。
テイスティングノート
外観:琥珀色がかった赤みのある独特の色合い。木灰のアルカリ成分がメイラード反応を促進し、この美しい色を作り出す。
香り:バニラやキャラメルを思わせる甘く温かみのある香りが主体。日本酒の香りを基調としながら、木灰由来の独特のニュアンスと木桶の清涼感が重なる。みりんや古酒を思わせる熟成感のある甘い香りが、現代の清酒とは明らかに異なる世界観を作る。
味わい:とろりとした粘性のある濃淳な口当たりが最初の印象。高品質な濃い甘みが口中に広がり、米由来の旨みが甘みに寄り添う。アルコール度数12%という低めの設定に対して、甘みと旨みのボリューム感は圧倒的だ。五水製法による水分量の少なさが、旨みを凝縮させている。
余韻:甘やかな風味が余韻として長くたなびく。バニラとキャラメルを思わせる甘みが口内にとどまり、400年以上前の肥後の宮廷酒の片鱗が感じられる唯一無二のフィニッシュだ。
飲み方・使い方
そのまま冷やしてデザートワインのように楽しむほか、ロックや少量の炭酸水で割ると飲みやすくなる。料理酒としても優秀で、みりんの代わりに煮物やソースに加えると深みのある甘みと旨みが料理を引き立てる。熊本では正月のお屠蘇やお祝いの席の酒としての文化も根付いており、特別な機会のためのとっておきの一本としても最適だ。
酒
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